1
認知について、判例の趣旨に照らして適切か否か答えよ。
認知届が認知者の意思に基づくことなくされたとしても,認知者と被認知者との間に事実上の親子関係があるときは,その認知は有効である。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
子その他の利害関係人は、認知に対して反対の事実を主張することができる。 (民法 786条)
最判昭52.2.14
根拠となる判例を引用しておきます。
最判(二小)S52.2.14 昭和51(オ)1009号事件
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319133420163308.pdf
より抜粋。
—
認知者の意思に基づかない届出による認知は、認知者と被認知者との間に親子関係があるときであつても、無効であると解するのが相当である。
—
認知権者が認知をしないときは、認知の訴え(民787条)によるべき、ということなのでしょうね。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記判例です。
2
認知について、判例の趣旨に照らして適切か否か答えよ。
妻以外の女性との間にもうけた子につき,妻との間の嫡出子として出生の届出をし受理されたときは,その届出は認知届としての効力を有する。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
最判昭和53年2月24日
嫡出でない子について、父から嫡出子とする出生届が出された場合において、判例は、「認知届は、父が戸籍事務官に対して自分の子であることを承認し、その旨申告する意思の表示が含まれており、出生届においても、子の出生を申告することのほかに、出生した子が自分の子であることを父として承認し、その旨申告する意思の表示が含まれている」とした。
===
嫡出でない子につき,父から,これを嫡出子とする出生届がされ,又は嫡出でない子としての出生届がされた場合において,右各出生届が戸籍事務管掌者によって受理されたときは,その各届は認知届としての効力を有するものと解するのが相当である。けだし,右各届は子の認知を主旨とするものではないし,嫡出子でない子を嫡出子とする出生届には母の記載について事実に反するところがあり,また嫡出でない子について父から出生届がされることは法律上予定されておらず,父がたまたま届出たときにおいてもそれは同居者の資格において届出たとみられるにすぎないのであるが,認知届は,父が,戸籍事務管掌者に対し,嫡出子でない子につき自己の子であることを承認し,その旨を申告する意思の表示であるところ,右各出生届にも,父が,戸籍事務管掌者に対し,子の出生を申告することのほかに,出生した子が自己の子であることを父として承認し,その旨申告する意思の表示が含まれており,右各届が戸籍事務管掌者によって受理された以上は,これに認知届の効力を認めて差支えないと考えられるからである。
(最判昭和53.2.24)
アカの他人の子を、妻との間の嫡出子として出生の届出をし受理されたときは、その届出は虚偽であり無効になる。
3
遺留分減殺請求権について、適切か否か答えよ。
共同相続人の一人が遺留分を放棄した場合,他の相続人の遺留分はそれだけ増加する。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。 (民法 1043条2項)
関連する民法の条文を挙げておきます。
—
第千四十三条
2 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。
—
設問肢は、民法939条(相続の放棄の効力)や民法255条(持分の放棄等)を知っていると、かえって引っかかりやすいかもしれませんね。要注意です。
[自説の根拠]自説の根拠は、上記条文です。
関連問題
次の説明は、相続に関する記述である。判例に照らして答えよ。
共同相続人の一人が遺留分を放棄した場合には,他の共同相続人の遺留分は,増加する。
4
離婚について、適切か否か答えよ。
婚姻によって氏を改めた夫又は妻が,離婚後にも婚姻中に称していた氏を続けて称するためには,離婚の時に届出をする必要がある。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
養子は、養親の氏を称する。ただし、婚姻によって氏を改めた者については、婚姻の際に定めた氏を称すべき間は、この限りでない。 (民法 810条)
(離婚による復氏等)第七百六十七条
婚姻によって氏を改めた夫又は妻は、協議上の離婚によって婚姻前の氏に復する。
2 前項の規定により婚姻前の氏に復した夫又は妻は、離婚の日から三箇月以内に戸籍法の定めるところにより届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができる。
余計なことかもしれませんが、離婚には協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚があり、大半が協議離婚とのことです。
婚氏継続の届出によるので、○ではないですか?
誰か教えてください
離婚の日から3ヶ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届」(婚氏続称届)を届出ると、離婚後も結婚時の相手の氏を称することができます。(民法767条)(戸籍法77条の2)
よって離婚の時ではなく3ヶ月以内
5
遺留分について、適切か否か答えよ。
判例によれば,共同相続人の1人に対する婚姻のための財産の贈与については,それが相続開始の1年前の日より前に行われた贈与であっても,特段の事情のない限り,他の共同相続人は遺留分減殺請求権を行使できる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。 (民法 1042条)
民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、同法一〇三〇条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となる。
1030条:被相続人以外に贈与した場合の規定(期限の定めあり)
1044条,903条:相続人に贈与した場合の規定(期限の定めなし)
参考:http://www.shinenet.ne.jp/~kikuchi/q-a/souzoku/souzoku04.htm
[自説の根拠]最高裁判所平成10年3月24日判決
上記訂正します。
×1030条:被相続人以外に贈与・・・
○1030条:相続人以外に贈与・・・
上記判例の続きです。
けだし、民法九〇三条一項の定める相続人に対する贈与は、すべて民法一〇四四条、九〇三条の規定により遺留分算定の基礎となる財産に含まれるところ、右贈与のうち民法一〇三〇条の定める要件を満たさないものが遺留分減殺の対象とならないとすると、遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象となるべき遺贈、贈与がないために右の者が遺留分相当額を確保できないことが起こり得るが、このことは遺留分制度の趣旨を没却するものというべきであるからである。
[自説の根拠]http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319121205503442.pdf
6
養子縁組について、適切か否か答えよ。
特別養子縁組の養親となる者は配偶者のある者でなければならず,夫婦の一方は必ず他の一方と同時に養親にならなければならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。 (民法 816条)
夫婦の一方が他の一方の嫡出である子の養親となる場合は、この限りでない。
[自説の根拠]民法817条3項2号但書
「他の一方の嫡出である子の養親となる」とは、例えば妻の前夫との嫡出子を現夫が養子とする場合である。
(養親の夫婦共同縁組)第817条の3 養親となる者は、配偶者のある者でなければならない。
《改正》平16法147
2 夫婦の一方は、他の一方が養親とならないときは、養親となることができない。ただし、夫婦の一方が他の一方の嫡出である子(特別養子縁組以外の縁組による養子を除く。)の養親となる場合は、この限りでない。
→817条3項ではないと思います。
関連問題
次の説明は、養子に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
特別養子縁組においては,養親となる者には配偶者がなければならず,かつ,原則として夫婦がともに養親とならなければならない。
7
相続の対象について、判例の趣旨に照らして適切か否か答えよ。
使用貸借の借主が死亡した場合,相続人が使用借権を相続する。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
民法599条
使用貸借は借主の死亡によってその効力を失う。
つまり、相続人が相続することはできません。
なお【消費貸借の場合】
借主死亡の場合、契約は相続人に承継される。
消費貸借…借りたものを消費し、同種・同等・同量の別のものを返還。
関連問題
相続による権利義務の承継について、適切か否か答えよ。
使用貸借の借主が死亡すると,その相続人は使用借主となる。
8
相続の対象について、判例の趣旨に照らして適切か否か答えよ。
不法行為による生命侵害の慰謝料請求権は,被害者が生前に請求の意思を表明していなければ,相続人には承継されない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
不法行為による慰藉料請求権は、被害者が生前に請求の意思を表明しなくても、相続の対象となる。
近親者による損害賠償請求(711条)
不法行為による生命侵害の場合には、被害者の父母・配偶者・子は慰謝料を請求することができる。
これの趣旨は、生命侵害の場合には、被害者の父母・配偶者・子は精神的苦痛がおおきいのが通常であることにかんがみ、損害の発生・加害行為と損害との院が関係の立証責任を軽減した点にある。
●そもそも慰謝料請求権は、損害発生と同時に被害者が取得し、請求の意思表明など格別の行為を要するものではない。
●慰謝料請求権自体は単純な金銭債権であり、一身専属とはいえず、相続対象となる。
→以上から、被害者が生前に請求の意思表明をしなくとも、慰謝料請求権は相続される、とされます。
※annpannmannさま
711条は、被害者の近親者固有の慰謝料請求権です。
本問は710条(被害者自身の慰謝料請求権)の相続に関する問です。
(尚、710条と711条の慰謝料請求は、同時に請求可能)
[自説の根拠]最判昭和42年11月1日
関連問題
不法行為による損害賠償について、民法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
不法行為によって名誉を毀損された者の慰謝料請求権は,被害者が生前に請求の意思を表明しなかった場合でも,相続の対象となる。
易しい (正答率90~100%) ほぼ全ての人が正解する問題です。絶対に正解して下さい。
9
婚姻の取消しについて、適切か否か答えよ。
検察官は,当事者双方が存命中は,婚姻適齢違反の婚姻の取消しを請求することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
第七百三十二条又は第七百三十三条の規定に違反した婚姻については、当事者の配偶者又は前配偶者も、その取消しを請求することができる。 (民法 744条2項)
「婚姻適齢違反の婚姻」とは何でしょう?
婚姻当事者の一方又は双方が、取消しの訴えを受けた時点で、民法731条に定める年齢(婚姻適齢)に達していない婚姻のことですね。
民法735条1項は、婚姻当事者の双方が婚姻適齢に達したら、婚姻適齢違反の状態は解消されたので、取消しができなくなるよ、という当然のことを定めたものに過ぎません。
なので、この設問肢では、当事者のいずれか一方が婚姻適齢に達していないことが前提となりますから、民法735条1項は問題にならないんですね。
なお、民法735条2項は、婚姻当事者のみに婚姻取消しに関する熟慮期間を特に与えた特則です。
[自説の根拠]参考:
http://ameblo.jp/shoumetujikou/entry-10463817655.html
婚姻障害における婚姻の取消をできるものは、各当事者、その親族、検察官である。
重婚の禁止似おいては前配偶者も取消権者に含まれる。
設問はあくまで双方が存命中ならば取消しを請求できるといっているだけで間違いではありませんね。H21.32問で誤っているものを挙げよ。と問うているだけなので適齢に達した場合云々とゆうより一方が死亡した後は請求できないことは条文上明白なので普通に〇でいいかと。
10
共有者の一人が死亡し,相続人の不存在が確定し,清算手続が終了した場合,その共有持分は他の共有者に帰属するとする見解(甲説)と,特別縁故者に対する財産分与の対象となり,この分与がされない場合に初めて他の共有者に帰属するとする見解(乙説)がある。次の記述を,甲説の説明又は根拠に親しむものと,乙説の説明又は根拠に親しむものとに分けた場合,甲説の説明又は根拠に親しむものとして適切か否か答えよ。
相続財産が共有持分である場合であっても,それを相続債権者の弁済のために換価して弁済した場合と,そのような事情がなく換価しなかった場合とで,区別して扱う合理的な理由はない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
債権を遺贈の目的とした場合において、遺言者が弁済を受け、かつ、その受け取った物がなお相続財産中に在るときは、その物を遺贈の目的としたものと推定する。 (民法 1001条)
他の共有者に共有(255条)されず特別縁故者への分与もないとすると、最終的には国庫に帰属→959条1項
これは、特別縁故者の制度が、もと相続財産法人の上にあるもので、255条は、959条1項の特別規定であるとの理解に基づく。
ところで他の共有者に共有される場合は、もはや相続財産法人に帰属しないことを意味する。ここで、相続財産の実体が金銭である場合との違いを生じ得る。
[自説の根拠]実際の区別には特別縁故者制度の趣旨に立ち合理的理由がなければならない、と理解される。さらに、単に共有持分たることはその合理性を十分担保しないとの考え方。(最判平成元・11・24民集43巻10号1220頁同旨)
他の共有者に帰属すれば、もはや相続財産法人には帰属しない、というものではありませんでした。つまり、その辺りが解釈問題でも、相続債務の引き当てや受遺者への弁済には相続財産管理人が共有持分をうまく換価してくれるので、特別縁故者への分与との関係で同様取扱の可否が曖昧のまま、一方的にそれを認めないとき、特別縁故者が、相続債権者や受遺者との関係で不利に立たされる点を合理的に説明できないということでした。いくつかチェックポイントがあるので、論理を理解する必要のある問題です。
[自説の根拠]家族判例百選 第7版 115頁
255条優先説(甲説)と958条の3優先説(乙説)の問題ですね。
958条の3優先説
相続財産が共有持分である場合であっても、それを相続債権者の弁済のために換価して弁済した場合と、そのような事情がなく換価しなかった場合とで、区別して扱う合理的な理由はない
→つまり、相続財産が共有持分である場合にも、特別縁故者に対する財産分与の対象となる。
乙説の説明又は根拠に親しむものなので[×]となります。
[自説の根拠]甲説乙説は学説・判例・登記先例で争いがあったようですが、最判平1.11.24で乙説優位となっているようです。
11
親族について、適切か否か答えよ。
妻の親と夫の親とは姻族である。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
×
両家の親同士は姻族ではない。
姻族とは、
○配偶者の血族
○血族の配偶者
※その配偶者に連れ子がいれば、その子及びその子孫も姻族
○直系尊属の再婚相手とその血族
姻族とは婚姻によって生じる関係であり、自分の配偶者の血族及び自分の血族の配偶者のことです。子の配偶者の血族は姻族ではないので、夫婦の親同士は姻族ではありません。
その配偶者に連れ子がいれば、その子及びその子孫も姻族とありますが、この場合は、連れ子と養子縁組をしているかとかを考えなくても、よろしいのでしょうか?
どなたか、ご教示お願い致します
12
養子縁組について、適切か否か答えよ。
特別養子縁組の養親となる夫婦の一方のみが25歳に達していない場合は,その者が20歳に達していれば,夫婦が共に特別養子縁組の養親となることができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
○
養親となるには、25歳以上の配偶者のある者(夫婦の一方が25歳以上であれば、他方は20歳以上でよい)で、夫婦ともに養親となることが必要である(817条の3、817条の4)。
13
未成年であるAの母はBであり,父はCであるが,BがAの親権者であり,BとCは婚姻をしていない場合について、適切か否か答えよ。
家庭裁判所は,Bの意思に反しない場合において,Aの利益のため必要があると認めるときは,Aの親族の請求によって,BとともにCを親権者と定める審判をすることができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
×
第819条
1.父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2.裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
~略~
6.子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
※この場合、BもCも両方同時には親権者になれません。
[自説の根拠]民法
14
相続人について、適切か否か答えよ。
相続の放棄をした者の子は,放棄をした者を代襲して相続人となる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
×
「相続の放棄」をした場合には、
その相続については、はじめから相続人とならなかったものとみなされます。
従って、「放棄をした者」はその相続とは一切関係が
なくなり、「放棄をした者の子」についても代襲相続は
行われません。
*ちなみに「欠格や廃除の場合」には代襲相続ができるようです。
[自説の根拠]【939条】
代襲相続される場合の語呂
肺結核死亡
排除 欠格事由 相続人の死亡
易しい (正答率90~100%) ほぼ全ての人が正解する問題です。絶対に正解して下さい。
15
遺言について、適切か否か答えよ。
受遺者が負担付遺贈の放棄をしたときは,遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときを除き,負担の利益を受けるべき者が自ら受遺者となることができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
○
(負担付遺贈)
第1002条
1 負担付遺贈を受けた者は、遺贈の目的の価額を超えない限度においてのみ、負担した義務を履行する責任を負う。
2 受遺者が遺贈の放棄をしたときは、負担の利益を受けるべき者は、自ら受遺者となることができる。ただし、遺言者がその遺言に別段の意思を表示したときは、その意思に従う。
負担付遺贈では、受遺者が一定の義務を負担する代わりに遺贈を受けることができる。例えば「障害を抱えた子の面倒をみる代わりに財産をもらえる」などである。受遺者が遺贈を放棄した場合、負担の利益を受けるべき者が自ら受遺者となるが、ここで「負担の利益を受けるべき者」とは、前記の例で言えば「障害を抱えた子」に当たる。
40点
早起きですね!この時間帯は誰にも邪魔されずに勉強に集中できますよね
1
Aが1億円の財産を残して死亡した。Aには,離婚した前妻Bとの間に子CとDが,その後再婚した妻Eとの間に子FとGがいた。Fには2000万円の寄与分があり,また,Aは,死亡する2年前にCに対して生計の資本として1000万円を贈与し,Gに1000万円の遺贈をした。
この事例における関係者の具体的相続分の額として,正しいものはどれか。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
Cが125万円,Dが1125万円,Eが4500万円,Fが3125万円,Gが125万円
(正解) Cが125万円,Dが1125万円,Eが4500万円,Fが3125万円,Gが125万円
うーむ・・・難しい・・・酔ってる頭には尚のことw
1.まず、相続財産を確定します。
遺された一億円に、特別受益分(1000万)を足し(民法903条1項)、寄与分(2000万)を引く(民法904条の2第1項)と、9000万。これが相続財産。
2.次に、相続分の確定。
上記9000万を、子(4500万)と配偶者(4500万)に分ける(民法900条1項)。
配偶者Eは4500万で確定。
子CDFG側に4500万配分。
3.子供たちの相続額の確定だが、離婚した云々は引っ掛け。本問では全員平等(900条4項本文)。よって、それぞれに1125万円ずつになる。
4.子それぞれの額から、それぞれの事情に応じて金額が増減する。
Cは特別受益分1000万を引き、125万(903条1項)
Dはそのまま、1125万。
Fは寄与分2000万を足し3125万(904条の2第1項)
Gは遺贈分を引き、125万(903条1項)
この問題の肝は、2つ。
α・・・離婚しようと子の間の相続に関係ない
β・・・寄与分は残された財産(本問では一億円)からまず引き、特別受益分は同時に足すが(最後の相続額10000万から前者は引く処理をし・・・本問F2000万、後者は足す処理をする・・・本問C1000万)、『遺贈は相続財産確定の段階では無関係で、具体的相続額を出す際に引く』(903条1項を注意深く読んでください、遺贈は当初足されませんが、具体額を出す際に引かれてますね・・・本問ではGの相続額1125万から1000万を最後に引くだけ、です)事を聞く問題と見ました。
旧司法試験択一だと、更に遺贈と生前贈与の減殺順序とか聞いてきたりしますが、行政書士試験ではハッキリ言ってここで私が述べたことは不必要です。他のより簡単な、頻出問題を反復練習するべきでしょう。
本日合格記念に、綿密に解説しましたw
この問題については、私の解説で全てです。kobabee さんは頭の加減のとこで間違ってますね。仕方ありません。。。ここの条文操作が独学で出来る人はいません。
逆に、一読でここの内容がわかった方は、新司法試験の道を考える能力があるかもしれません。
では。。。お世話になりました。
[自説の根拠]上述条文のみ。
みなし相続財産
特別受益制度(民法903条)
共同相続人の中に、被相続人から特別の利益(遺贈、生前贈与)を受けている者がいる場合、公平の観点から、その贈与の価額を相続財産に加算した額を基礎として各人の具体的な相続分を計算する。
相続人ではない者に対する遺贈、生前贈与は対象外。
寄与分制度(民法904条の2)
共同相続人の中に、相続財産を維持増加するうえで特別に寄与した者がいる場合、公平の観点から、その物の寄与分を控除した額を基礎として各人の具体的な相続分を計算する。
相続財産は遺産1億円+生前贈与1000万-寄与分2000万=9000万。
遺贈は相続財産に含まれるため考慮しない。
[自説の根拠]民法903条1項
関連問題
子のない夫婦ABは,Cを養子にした。その当時,Cには先妻との間にもうけた子Dがあった。その後,CはEと再婚し,Eとの間に子Fをもうけた。なお,Aには母Gがいる。以上の事情の下で,A,C及びFの3人は,一緒に旅行中に飛行機事故により死亡した。その死亡の先後は不明であり,Aは1,500万円の遺産を残した。
この事例におけるAの相続人の法定相続分について,次の1から5までのうち正しいものはどれか。
2
親権・監護権について、適切か否か答えよ。
協議離婚に際して,夫婦の間に子がある場合には,親権者のほかに監護権者を定めなければならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
前項の場合において、養子の父母が離婚しているときは、その協議で、その一方を養子の離縁後にその親権者となるべき者と定めなければならない。 (民法 811条3項)
監護権者は「定めることができる」のであって、「定めなければならない」わけではありません。
[自説の根拠]民法766条
■親権&監護権者
「親権」には法律上、子どもの衣食住の世話やしつけを行う「身上監護権」と、子どもの財産を管理したり契約などを代理する「財産管理権」の二つの意味があります。通常は親権者が「身上監護権」、「財産管理権」の両方を行うことになりますが、親権者とは別に「監護権者」を定めて、「身上監護権」つまり「子どもを引き取って育てる」という部分のみを任せることも、法的には可能です。
つまり親権者になれなかったとしても、「監護権者」になることができれば、子どもを引き取ることができるのです。
[自説の根拠]離婚の法律問題と手続き/ネット検索
3
親族関係について、適切か否か答えよ。
養子は,その養親の実子と婚姻をすることができない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
子が養子であるときは、養親の親権に服する。 (民法 818条2項)
民法第734条【近親者間の婚姻の禁止】
①直系血族または3親等内の傍系血族の間では、婚姻をすることができない。ただし、養子と養方の傍系血族との間では、この限りでない。
ただし書きによると、養子の場合は養親の実子と婚姻できることになります。
古いマンガだけど、あだち充のみゆきを思いだした。
最終回で主人公と血のつながらない妹が結婚していた。
当時はおかしいと思ってたけど。
こういう事なんだね。
婿養子なんかもこれですね。旧民法では婿養子制度が明文であったようですが、現在の民法では734条1項を根拠に同じ事ができます。
養子縁組してから結婚、又は結婚してから養子縁組のどちらも可能ですね。
逆に養親と養子は離縁しても婚姻することはできない。
一度直系姻族関係になった場合も同様。
息子の嫁とは、息子が離婚しても息子が死んでも結婚できない。
[自説の根拠]自説の根拠は、民法735条 736条
4
代襲相続について、適切か否か答えよ。
被相続人Aの子Bの養子Cは,Aの代襲相続人となり得ない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
被相続人の子は、相続人となる。 (民法 887条)
被相続人の子の子が代襲相続人となることができるのは、被相続人の直系卑属に限られています。(887条2項但書)
養子は養子縁組の日から養親及びその血族間において、法定血族関係に入ります。(727条)
したがって、被相続人Aの子Bの養子Cは、Aの直系卑属として代襲相続人になることができます。
設問は「なり得ない」としているので誤りとなります。
[自説の根拠]民法887条、727条
養子Cが
関連問題
甲が次のアからオまでに掲げる者を残して死亡した場合,被相続人甲の相続について、法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
ア:内縁の妻乙
イ:先妻との間の死亡した子Aの子X
ウ:先妻との間の子B
エ:Bの子Y
オ:死亡した妹の子C
B及びXが相続を放棄したときであっても,Cは,相続人とはなり得ない。
5
代襲相続について、適切か否か答えよ。
被相続人Aの父Bの父Cは,Aの代襲相続人となる場合がある。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
被相続人の子は、相続人となる。 (民法 887条)
被相続人の直系卑属でないものは代襲人になれない
[自説の根拠]民法887条2
代襲者は被相続人の直系卑属でなければならない(887条2項但書)
血族のうち、親や祖父母など自分より前の世代に属する者を尊属といい、子供や孫など自分より後の世代に属する者を卑属という。親より前の尊属を先祖、子供より後の卑属を子孫、とくに孫の孫(玄孫)以後の子孫を末裔(まつえい)と呼ぶこともある。
[自説の根拠]Wikipedia
CはAの直系尊属のため、相続人になる場合があるが「代襲」相続人ではない。
[自説の根拠]第889条
次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
①被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
直系尊属は、遺留分減殺請求権もあるんですけどね
関連問題
次の事例について、民法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
自己所有の建物に妻Bと同居していたAが,遺言を残さないまま死亡した。Aには先妻との間に子C及びDがいる。
Cの子FがAの遺言書を偽造した場合には,CはAを相続することができない。
6
親子関係をめぐる訴訟について、適切か否か答えよ。
婚姻後200日以内に生まれ嫡出子として届け出られた子の父子関係は,夫が子の出生を知った時から1年を経過しても争うことができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
内縁中に懐胎し、婚姻の成立から200日「以内」に生まれた子は、嫡出推定を受けないが、嫡出子として取り扱われる
とする判例(大審院昭和15年1月23日連合部判決民集19巻54頁)があり、『推定されない嫡出子』と解するそうです。
この場合、親子関係を争う手段としては「嫡出否認の訴え」(民法774・775条)ではなく、【親子関係不存在確認の訴え】(人事訴訟法2条2号)により行われます。
「嫡出否認の訴え」では期間制限があり夫が子の出生を知った時から1年以内ですが、
【親子関係不存在確認の訴え】は期間制限がないため、
問題文の通り、【1年を経過しても争うことができる】
ので正解は○となります。
「嫡出子として届け出られた子」とありますが、届けられたこと=認めたことではないのですか?認めた後は争えないのではと考えてしまいました。
父が提出した場合にはそう考えられますが、母が出生届を提出することもできます。
本問では「誰が」提出したかが書かれていないので、母が提出したのではないでしょうか。
[自説の根拠]戸籍法第52条第1項 嫡出子出生の届出は、父又は母がこれをし、子の出生前に父母が離婚をした場合には、母がこれをしなければならない。
776条では、「夫は子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う」とありますが、本問のような嫡出推定を受けない子については、この「承認」の効果は生じないとされています。(通説)
**
また、嫡出推定を受ける子であっても、父親が単に出生届けを出したり、命名しただけでは「承認」にはあたらないとされています。(戸籍上の義務を履行しただけであるため)
従って、いずれの場合も、出生届けをしただけで直ちに否認権を失うわけではありません。
7
親子関係をめぐる訴訟について、適切か否か答えよ。
嫡出推定が及んでいる子について,他の男性が認知をすることはできないが,子の側から認知の訴えを提起することはできる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。 (民法 777条)
第772条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
[自説の根拠]民法第772条
子が前夫の子でない扱いをしてもらうためには、家庭裁判所において、(1) 前夫を相手方として、子と前夫の間の親子関係の不存在を確認することを求める親子関係不存在確認の調停手続、又は、(2) 子の血縁上の父を相手方として、子を認知することを求める認知の調停手続を取ることができる。調停手続において、当事者が合意し、裁判所が事実関係を調査した上でその内容を正当と認めれば、合意の内容に沿った審判がされる。
[自説の根拠]法務省ホームページ
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji175.html#q1
設問では、嫡出推定が及んでいる子ということですので、嫡出否認の訴えによらなければ嫡出子である身分を奪われない。(民法775条)
772条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。(民法774条)
認知はそもそも「嫡出でない子」という大前提があり、嫡出推定が及んでいる以上、夫が嫡出否認の訴えをおこし推定が覆らない限り、誰からの認知も成立しないと思います。
関連問題
次の説明は、親子に関する記述である。判例に照らして答えよ。
非嫡出子が認知請求権を放棄する契約をしたときは,父に対して認知の訴えを提起することはできなくなる。
8
相続の承認と放棄について、適切か否か答えよ。
相続人Aが相続放棄をしたことにより相続人となったBが相続の承認をした場合であっても,Bの承認後にAが相続財産を費消した場合には,Aは単純承認をしたものとみなされる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。 (民法 921条)
921条3項但書
—
(法定単純承認)
第921条
次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。
一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。ただし、保存行為及び第六百二条に定める期間を超えない賃貸をすることは、この限りでない。
二 相続人が第九百十五条第一項の期間内に限定承認又は相続の放棄をしなかったとき。
三 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかった
とき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承
認をした後は、この限りでない。
『処分した時』に当たらない事例
1.相続人が一旦有効に限定承認または放棄をした後に、相続財産を処分した場合。(大判昭5.4.26民集9.427)
2.相続人が自己のために相続が開始した事実を知り又は確実に予想しながら、相続財産を処分した場合でなければ、本号に当たらない。(最判昭42.4.27民集21.3.741、家族100選)
本問は1.に当たるケースです。
[自説の根拠]上記判例
関連問題
次の説明は、相続に関する記述である。判例に照らして答えよ。
相続人が放棄をした後に相続財産の一部を私的に消費した場合には,当該相続人は,常に単純承認をしたものとみなされる。
9
相続の承認と放棄について、適切か否か答えよ。
限定承認者は,相続債権者に弁済した後でなければ,受遺者に弁済することができない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
限定承認者は、前二条の規定に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。 (民法 931条)
(受遺者に対する弁済)
第931条
限定承認者は、前二条の規定に従って各相続債権者に弁済をした後でなければ、受遺者に弁済をすることができない。
①相続債権者…被相続人の債権者
②受遺者…遺贈を受け取る人
①②の順に弁済ですね。
10
養子縁組について、適切か否か答えよ。
離縁は,離縁時に養子がまだ18歳であっても,家庭裁判所の許可は不要であり,養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議ですることができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
養子が十五歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべき者との協議でこれをする。 (民法 811条2項)
養子が15歳未満であるときは、その離縁は、養親と養子の離縁後にその法定代理人となるべきものと協議してこれをする。
[自説の根拠]民法811条 協議上の離縁等
18歳なら当事者同士(養親と養子)の協議で離縁ができます(811条1項)。
[自説の根拠]民法811条1項と2項
11
親族について、適切か否か答えよ。
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については,その者の4親等の親族は,家庭裁判所に後見開始の審判の申立てをすることができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
○
民法 第7条(後見開始の審判)
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
12
養子縁組について、適切か否か答えよ。
養子となるべき者が尊属又は年長者であるときは,これを養子とすることはできない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
○
(尊属又は年長者を養子とすることの禁止)
【民法793条】
・尊属又は年長者は、これを養子とすることが
できない。
マンガでイメージしてみましょう。
JOJOの奇妙な冒険(知らない人はすみません)の登場人物、空條条太郎は年下の東方丈助(祖父の隠し子)を自身の養子にすることができない。
こんな感じですかな。
13
養子縁組について、適切か否か答えよ。
未成年者を養子とする養子縁組は,自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合を除き,家庭裁判所の許可の審判があった時に成立する。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
×
最判昭25・12・28より
養子縁組は届出により法律上効力を有する要式行為であり、これは強行法規である。
したがって
この問題では「家庭裁判所の許可の審判があった時に成立する」の箇所が間違っています(X)
なお
未成年者を養子とする場合、家裁の許可→必要、
自己又は配偶者の直系卑属を養子とする場合→許可不要
民789条の趣旨:芸者とするための養子縁組のように、養子の労働搾取を企図するような養子縁組を阻止し、養子縁組を真の子の幸福のための制度とする目的のものだそうです
[自説の根拠]民789,799,739及び、上記判例(虚偽の出生届による縁組の可否)
民法798条により、未成年者を養子とするには家庭裁判所の許可が必要であるが、養子縁組自体は届出によって効力を有するので、家庭裁判所の許可の審判があったときに成立するのではないということですね。つまり、養子縁組の成立の時点がどこかということが問題というわけです。
普通養子の場合は戸籍の届出時成立ですが、特別養子の場合は審判時に成立ですので、本問の前提として未成年を養子にする場合としてしか規定していないので、普通養子の場合もありうるため、その点で×となります。
「許可」「審判」などの文言上の問題ではないと思われます。
14
相続人について、適切か否か答えよ。
判例によれば,相続に関する被相続人の遺言書を破棄した者は,破棄が相続に関する不当な利益を得ることを目的とするものでない場合であっても,相続人となることができない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
×
遺言書を破棄する行為が,相続に関して不当な利益を目的とするものでなかったときは相続資格を失わないものと判示した(最判平成9年1月28日)。
うっかり遺言書を捨ててしまって
「あなたは遺言書を捨てたので相続権がありません」
というのは、かわいそうですからね
15
相続人について、適切か否か答えよ。
相続放棄の申述が家庭裁判所に受理された場合でも,相続の放棄に無効原因があるときは,後日に訴訟において無効であることを主張することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
○
錯誤による無効とかですね
「相続放棄の申述が家庭裁判所に受理された場合においても、相続放棄に法律上の無効原因(錯誤など)があるときは、後日訴訟においてこれを主張することができる」
(最判昭29・12・24)
20点
さすがに、これはマズイかも。更に練習を。
1
遺留分減殺請求権について、適切か否か答えよ。
受贈者から贈与の目的物を譲り受けた者が減殺請求を受けた場合,譲受時に遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは,その価額を弁償しなければならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
減殺を受けるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価額を弁償しなければならない。ただし、譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することができる。 (民法 1040条)
減殺を受けえるべき受贈者が贈与の目的を他人に譲り渡したときは、遺留分権利者にその価格を弁償しなければならない。ただし、譲受人が譲渡の時において遺留分権利者に損害を加えることを知っていたときは、遺留分権利者は、これに対しても減殺を請求することが出来る。
[自説の根拠]民法1040条~受贈者が贈与の目的を譲渡した場合等~
遺留分減殺請求の相手方は、原則として受遺者・受贈者及びその包括承継人ですが、例外として悪意の権利取得者に対しても行使することができます。
さて、受贈者が目的物を第三者に譲渡していた場合、
減殺請求を受けた受贈者は、すでに現物が手元にありませんので、その価額を弁償しなければなりません。
また、減殺請求を受けた悪意の転得者は、現物を返還することも、価額を弁償することもできます。
つまり、現物を返還することができるので「価額を弁償しなければならない」わけではありません。
[自説の根拠]民法第1040条、第1041条
2
親権・監護権について、適切か否か答えよ。
嫡出でない子は,親権を行使する親の氏を称する。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
嫡出でない子は、母の氏を称する。 (民法 790条2項)
民法第790条
嫡出である子は、父母の氏を称する。ただし、子の出生前に父母が離婚したときは、離婚の際における父母の氏を称する。
2 嫡出でない子は、母の氏を称する。
3
親族関係について、適切か否か答えよ。
夫婦の一方は,他方が前婚でもうけた子に対して扶養義務を負うことはない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
配偶者の子は1親等の姻族であるから,民法第877条第2項の規定により、特別の事情があるときは扶養義務を負う。
[自説の根拠]民法第877条第2項
原則、扶養義務を負うのは実親であるので、配偶者の子に対しては、養子縁組をしない限り扶養義務を負うことはありません。
しかし、特別の事情がある場合、「家庭裁判所が」「扶養の義務を負わせることができる」ので、×です。
※尚、生計を一にするなどの事情がある場合、税制上の「扶養控除」の対象とすることはできますが、これと「扶養義務」を負うかどうかとは別の話です。
[自説の根拠]民法第877条2項
4
親族関係について、適切か否か答えよ。
夫婦の一方は,他方の兄弟姉妹の配偶者に対して扶養義務を負うことはない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。 (民法 877条)
・直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。
・家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項の規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
☆夫婦の一方の兄弟姉妹の配偶者は直系血族でも三親等内の親族でもないので義務を負うことはありません。
[自説の根拠]民法877条(扶養義務者)
5
遺留分について、適切か否か答えよ。
遺留分権利者が数人あるときは,全員で共同して遺留分減殺請求権を行使する必要がある。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
遺留分権利者及びその承継人は、遺留分を保全するのに必要な限度で、遺贈及び前条に規定する贈与の減殺を請求することができる。 (民法 1031条)
遺留分権利者が複数いる場合、その行使は各人の自由です。
【参考条文】
民法1043条2項 共同相続人の一人のした遺留分の放棄は、他の各共同相続人の遺留分に影響を及ぼさない。
ちなみに、共同相続人の全員で共同して行わなければならないのは、限定承認。
※民法923条 相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
易しい (正答率90~100%) ほぼ全ての人が正解する問題です。絶対に正解して下さい。
6
実親子関係について、適切か否か答えよ。
父に認知された子が父と母の婚姻によって準正された後,その婚姻が重婚を理由に取り消されても,子は嫡出子の身分を失わない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。 (民法 789条)
民法748条(婚姻の取消しの効力)
婚姻の取消しは、将来に向かってのみその効力を生ずる。
取消しの効力が遡及しないため、子は嫡出子の身分を失いません。
7
養子縁組について、適切か否か答えよ。
夫の氏を称する婚姻をしている夫婦が共同して養親となった場合において,養子は養父とのみ離縁することができるが,縁氏の続称を選択した場合を除き,離縁によって縁組前の氏に復する。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
養子は、離縁によって縁組前の氏に復する。ただし、配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした場合は、この限りでない。 (民法 816条)
離縁による復氏等:
養子は離縁によって縁組前の旧姓に戻る。ただし、夫婦で養親をした者の一方とだけ離縁をした場合は、戻らない。
養母との縁組がなお継続している為×です。
[自説の根拠]民法816条1項但書
質問です。
「養子は養父とのみ離縁することができるが」の部分は正しいんでしょうか?根拠となる条文が見つかりません。
camisoulmax さん
816条1項但し書きを素直に読むと「配偶者とともに養子をした養親の一方のみと離縁をした」は、養父だけと離縁したとか養母だけと離縁したってことになります。
ただ、養子が未成年者の場合は、原則夫婦がともにしなければならないとありますので、養親の一方と離縁というのはできないようですね。(民法811条の2)
8
養子縁組について、適切か否か答えよ。
特別養子縁組の離縁は,民法の定める事由が存在する場合に,養子,養親,実父母又は検察官の請求により,家庭裁判所が行う。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。 (民法 817条の10)
養子、実父母又は検察官の請求により行う。
(特別養子縁組の離縁)
1.次の各号のいずれにも該当する場合において、養子の利益のため特に必要があると認めるときは、家庭裁判所は、養子、実父母又は検察官の請求により、特別養子縁組の当事者を離縁させることができる。
一 養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があること。
二 実父母が相当の監護をすることができること。
2.離縁は、前項の規定による場合のほか、これをすることができない。
[自説の根拠]民法 第817条の10
9
相続の対象について、判例の趣旨に照らして適切か否か答えよ。
賃貸借契約に基づく賃借人の債務を保証した者の相続人は,相続開始後に生じた賃料債務について履行をする責任を負わない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
継続的取引により将来負担することあるべき債務について、(中略)連帯保証人の死亡後生じた主債務については、相続人がその保証債務を承継負担するものではない。
[自説の根拠]昭和37・11・9 民法446条
上記を訂正いたします。
賃借人のための保証は、相続性がある。
との判例がありました。
大変申し訳ございませんでした。
[自説の根拠]昭和9・1・30 民法446条
賃借人の保証人が死亡した場合、保証人の死亡後に生じた賃料債務についても、保証人の相続人は保証債務を相続するのが原則です。
理由:保証人の債務は賃貸借契約から生じる特定の債務に限られるので、保証人の負担がそれほど過大にならないからです。
保証契約を解除できる場合:保証契約後、相当期間が経過し、賃借人がしばしば賃料支払を怠っており、将来において支払う見込みがないか、保証後の賃借人の財産状態が悪化したなどの事情があるのに、賃貸借の解除もしないで放置した場合には、保証人は保証契約を解除できます。
[自説の根拠]・保証人の相続人は保証債務を相続する:大判昭和9.1.30
・賃借人の保証人が保証契約を解除できる場合:大判昭和8.4.6
10
債権者代位権について、判例の趣旨に照らして適切か否か答えよ。
被相続人の遺言ですべての遺産を相続した法定相続人Cに対して,他の法定相続人Bが遺留分減殺請求権を行使しないためこれが時効消滅する危険があるときは,Bの債権者Aは遺留分減殺請求権を代位して行使することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。 (民法 1042条)
遺留分権利者が、これを第三者に譲渡するなど、権利行使の確定的意思を有することを外部に表明したと認められる特段の事情が無い限りできません
上記特段の事情があるときを除き、遺留分減殺請求権を債権者代位行使の目的とすることができない“理由”は、下記の通りです。
●遺留分減殺請求権が、民法423条1項但書にいう「債務者の一身に専属する権利」に当たると解せられるため。
●また、債務者が将来遺産を相続するか否かは、きわめて不確実な事柄であり、債権者は、これを共同担保として期待すべきではないから、このように解しても債権者を不当に害するものとはいえないため。
[自説の根拠]最判平成13年11月22日
関連問題
次の説明は、遺留分減殺請求権に関する記述である。判例に照らして答えよ。
遺言者の財産全部についての包括遺贈に対して遺留分権利者が減殺請求権を行使した場合には,遺留分権利者に帰属する権利は,遺産分割の対象となる相続財産としての性質を有すると解される。
11
相続による権利義務の承継について、適切か否か答えよ。
被相続人が有していた占有権は,相続人が相続財産について事実的支配をしないと,相続されない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
相続財産の管理人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。 (民法 956条)
被相続人が死亡して相続が開始するときは、特別の事情の無い限り、従前その占有に属したものは、当然相続人の占有に移ると解すべき
[自説の根拠]昭和44・10・30 民法896条
関連問題
相続の対象について、判例の趣旨に照らして適切か否か答えよ。
相続人は,被相続人の占有についての善意・悪意の地位を当然に承継する。
12
共有者の一人が死亡し,相続人の不存在が確定し,清算手続が終了した場合,その共有持分は他の共有者に帰属するとする見解(甲説)と,特別縁故者に対する財産分与の対象となり,この分与がされない場合に初めて他の共有者に帰属するとする見解(乙説)がある。次の記述を,甲説の説明又は根拠に親しむものと,乙説の説明又は根拠に親しむものとに分けた場合,甲説の説明又は根拠に親しむものとして適切か否か答えよ。
特別縁故者に対する財産分与の制度は,遺贈又は死因贈与の制度の補完である。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
特別縁故者に対する財産分与の制度(958条の3)は、
遺言制度の利用が一般化していない時期に、相続人のいない被相続人が遺贈又は死因贈与をしないで死亡したとしても、被相続人と特別の関係にあった者に財産を分与することが、被相続人の意思にかなう、という趣旨で設けられた制度です。
これが「遺贈又は死因贈与の制度の補完」という意味ですので、
958条の3が255条に優先するという乙説に親しむものです。
13
養子縁組について、適切か否か答えよ。
養子縁組をした養子に子がある場合,養子縁組の日から,養子の子と養親との間において血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
×
「養子本人」と「養親及びその血族」間には、養子縁組により法定血族関係が生じます。(727条)
一方、
養子縁組前に生まれた「養子の卑属」と「養親及びその血族」間には、親族関係は生じないとされています。(大判S7.5.11)
養子の連れ子とは親族関係は生じません。
養子縁組前の養子の子Aと養子縁組後の養子の子Bでは、Bは代襲相続が可能、Aは代襲相続権はありませんね。
14
Aには妻Bとの間に子としてCとDがいて,Cには妻Eとの間に子としてFとGがいる場合において,Aが死亡したときの相続について、適切か否か答えよ。
AはCFとともに同一の事故で死亡したが,これらのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでない場合には,Aの相続人はBDGである。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
○
Aの相続人は、本来はBCDです。
しかし、Cは、Aと同一の事故で死亡し、その死亡の前後が明らかでありません。
このような場合、ACは民法32条の2により、同時に死亡したと推定されます。
とすれば、Cの子Gが代襲相続(887条2項)しますので、結局BDGがAの相続人となります。
☆参考条文
民法32条の2 数人の者が死亡した場合において、そのうちの一人が他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、同時に死亡したものと推定する。
15
遺言について、適切か否か答えよ。
公正証書遺言以外の遺言書について検認がされた場合,相続人は,遺言を無効とする事由があることを主張することができない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
×
遺言の保管者や発見者は相続開始を知った後、遅滞なく家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない(1004条1項)。検認は遺言書の存在を確定し現状を保護するために行われる手続であるが、遺言書の有効・無効という実体上の効果を左右するものではない。なお、公正証書遺言については検認を要しない(1004条2項)。
[自説の根拠]Wikipedia
裁判所ホームページより引用
「検認とは,相続人に対し遺言の存在及びその内容を知らせるとともに,遺言書の形状,加除訂正の状態,日付,署名など検認の日現在における遺言書の内容を明確にして遺言書の偽造・変造を防止するための手続です。遺言の有効・無効を判断する手続ではありません。」
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_06_17.html
[自説の根拠]自説の根拠は、裁判所ホームページ「遺言書の検認」より引用
検認は将来の偽造・変造を防止する為に遺言書の内容を明確保存する為に行います。
遺言書の有効無効には関与しない。
67点
1
親権・監護権について、適切か否か答えよ。
養子縁組に際して,養子となる者が15歳未満である場合において監護権者があるときは,親権者の承諾のほかに監護権者の同意が必要である。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべき者であるものが他にあるときは、その同意を得なければならない。 (民法 797条2項)
民法第797条
1.養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
2.法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべきものである者が他にあるときは、その同意を得なければならない。
通常、父母の共同親権のもとにある子の法定代理人は、親権者である父又は母である。しかし、父母の離婚により「親権」と「監護権」を分けているケースもある。親権者が父、監護権者が母として置き換えてみると、民法第797条第2項は、「法定代理人(親権者=父)が養子縁組の承諾をするには、監護権者(母)の同意を得なければならない」ということになる。
[自説の根拠]http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1411292204
質問です。
民法第797条
1.養子となる者が15歳未満であるときは、その法定代理人が、これに代わって、縁組の承諾をすることができる。
2.法定代理人が前項の承諾をするには、養子となる者の父母でその監護をすべきものである者が他にあるときは、その同意を得なければならない。
監護権者が父母でない場合同意が必要でしょうか?
確かに条文通り解釈すると、父母以外が監護者だった場合同意不要という事になり、この問の正答も変わってしまいますよね。
調べてみたのですが、これに言及する説が見つかりませんでした。
尚、監護権についての説では、「監護権」は「親権」に含まれるものなので、監護権を持つのは原則、元々親権を持つ父母どちらかになるとするようです。
797条2項は、この原則を前提としているのかもしれませんね。
[自説の根拠]でも、趣旨から言えば、監護も養子制度も子どもの為の規定なので、同意の必要な監護者が父母か否かはあまり関係ない気がします。
参考:我妻栄「親族法」等
2
代襲相続について、適切か否か答えよ。
被相続人Aの配偶者Bの子Cは,Aの代襲相続人となり得ない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
次に掲げる者は、相続人となることができない。 (民法 891条)
問題文の「配偶者Bの子C」とは、Aの再婚相手Bの連れ子Cという意味ではないでしょうか。
連れ子であれば、被相続人Aの子ではないので、代襲相続人になれないですね。
[自説の根拠]民法887条2項
「・・との子Cは・・」であれば、代襲者である。
CがAの「実子」であれば、第一順位の相続人のため代襲相続人にはなり得ず、「連れ子」であれば、そもそも相続権がありません。
また、仮にAが連れ子のCと養子縁組をしていたとしても、その場合は実子と同様、第一順位の相続人となるため、いずれにしてもCが代襲相続人となることはあり得ず、従って、○です。
[自説の根拠]民法第887条1項、同2項、第809条
関連問題
甲が次のアからオまでに掲げる者を残して死亡した場合,被相続人甲の相続について、法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
ア:内縁の妻乙
イ:先妻との間の死亡した子Aの子X
ウ:先妻との間の子B
エ:Bの子Y
オ:死亡した妹の子C
B及びXが相続を放棄したときであっても,Cは,相続人とはなり得ない。
3
親子関係をめぐる訴訟について、適切か否か答えよ。
認知の訴えは,父の死後も3年間は,検察官を被告として提起することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
(認知の訴え)
第787条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
↓出訴期間に関する判例がありました。
要旨より:父の死亡の日から3年1ヶ月経過した後、その死亡の事実が判明。提起しなかった事がやむを得ないものである等として、「認知の訴えの出訴期間は父の死亡が客観的に明らかになつた時から起算すべきである」とした。
[自説の根拠](最判昭和57.3.19)
検察官を被告??と思いましたが、人事訴訟法に規定がありました。
人事訴訟法42条1項
認知の訴えにおいては、父又は母を被告とし、その者が死亡した後は、検察官を被告とする。
[自説の根拠]人事訴訟法42条1項
4
離婚について、適切か否か答えよ。
夫婦の共有財産は,離婚の時から2年以内に分割しなければならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
共有財産については、前項の請求とともに、その分割を請求することができる。 (民法 758条3項)
民法第768条 1. 協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。 2. 前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。3. 前項の場合には、家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与をさせるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。
「家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。」のは「離婚の時から二年」以内です(民法768条2項)。
でも「分割しなければならない。」期限は定められていません。
だから請求だけを2年以内にしておけば、実際に分割するのは2年を過ぎていても大丈夫なのでは。
[自説の根拠]民法768条2項
夫婦には貯金も無く分譲マンションしか共有財産はありません。
二人ともローンが組めないので、財産分割するには分譲マンションを売却して現金を分ける以外に方法がありません。
分譲マンションの買い手がつかず、売却に至るまで3年かかってしまいました。
無い話ではありません。
離婚の時から2年は家庭裁判所に対して協議に代わる処分を【請求することができる。】
分割しなければならない→×
5
相続の承認と放棄について、適切か否か答えよ。
共同相続人に強迫されて相続放棄をした場合は,放棄を取り消すことができるが,追認することができる時から6か月以内に家庭裁判所に申述して取り消さなくてはならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
前二条に規定する原因が消滅したときは、家庭裁判所は、本人又はその親族の請求によって、前二条の規定による親権又は管理権の喪失の宣告を取り消すことができる。 (民法 836条)
(相続の承認及び放棄の撤回及び取消し)
第919条
1. 相続の承認及び放棄は、第915条第一項の期間内でも、撤回することができない。
2. 前項の規定は、第1編(総則)及び前編(親族)の規定により相続の承認又は放棄の取消しをすることを妨げない。
3. 前項の取消権は、追認をすることができる時から六箇月間行使しないときは、時効によって消滅する。相続の承認又は放棄の時から十年を経過したときも、同様とする。
4. 第2項の規定により限定承認又は相続の放棄の取消しをしようとする者は、その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。
[自説の根拠]民法第919条
6
相続人が複数存在する場合における遺産分割前の遺産について、判例の判旨に照らして適切か否か答えよ。
不動産の引渡義務を相続した場合,いずれの相続人も当該不動産の引渡義務を負う。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
民法898条(共同相続の効力)
相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
不可分債務は,共同相続人に不可分的に帰属するので,全員が共同して,又は各人が全員のために債務を履行することになる
[自説の根拠]大判大12.2.23
7
遺留分について、適切か否か答えよ。
遺留分減殺請求権は,相続の開始を知った時から1年以内に行使しなければ時効消滅する。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。 (民法 1042条)
遺留分減殺請求権は、
『遺留分権利者が、相続の開始【及び】減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から、1年間行使しないときは、時効によって消滅する。』
と民法1042条前段に書かれています。
問題文では『【及び】減殺すべき贈与または遺贈があったこと』が記載されていないので正解は×になります。
条文追加しときますと、
(減殺請求権の期間の制限)
第1042条 減殺の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。
そして、単にその相続開始、遺贈・贈与があったことを知るのみでなく、
それが遺留分を侵害し、減殺しうべきものであることを知った時である(大判明治38.4.26)
だそうです
新司19年民事35
[自説の根拠]辰巳肢別、内田Ⅳ
8
注意義務について、適切か否か答えよ。
限定承認をした相続人は,相続債権者及び受遺者への弁済を終わるまで,善良な管理者の注意をもって相続財産を管理しなければならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない。 (民法 926条)
民法第926条
1.限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない。
[自説の根拠]民法第926条
この機会に同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない例を覚えておくと、今後の問題の変化球にも対応できます。財産法関係では「無償の受寄者」、家族法では「親権者、熟慮期間中の相続人、限定承認者、相続放棄者」。これらはいずれも自己のためにすると同一の注意をもって、その管理権を行なわなくてはならない。
[自説の根拠]民法第659,827、918,926①、940①条
9
相続の対象について、判例の趣旨に照らして適切か否か答えよ。
被相続人が第三者から与えられていた代理権は,相続人に承継されない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
相続財産の管理人の代理権は、相続人が相続の承認をした時に消滅する。 (民法 956条)
民法111条(代理権の消滅事由)
代理権は、次に掲げる事由によって消滅する。
1、本人の死亡
2、代理人の死亡又は代理人が破産手続き開始の決定若しくは後見開始の審判を受けたこと。
とありますので、被相続人の死亡により代理権は消滅します。
10
相続の対象について、判例の趣旨に照らして適切か否か答えよ。
相続人は,被相続人の占有についての善意・悪意の地位を当然に承継する。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。 (民法 920条)
~(前略)~被相続人の占有が所有の意思の無いものであったときでも、相続人は本条に言う新権原により所有の意思を持って占有を始めたというべきである。
[自説の根拠]昭和46・11・30 民法185条
(最高裁判例 昭和46年11月30日)民法第896条
相続人が、被相続人の死亡により、相続財産の占有を承継したばかりでなく、新たに相続財産を事実上支配することによつて占有を開始し、その占有に所有の意思があるとみられる場合においては、被相続人の占有が所有の意思のないものであつたときでも、相続人は民法185条にいう「新権原」により所有の意思をもつて占有を始めたものというべきである。
∴当然に地位を承継するのではない。
↑ 自主占有と他主占有代理占有の承継についてですね。
内容はあまり変わりませんが、善意・悪意の地位を当然に承継する。
消滅時効期間に関係する事があります。
前主が悪意で占有していた場合でも、現主が承継時に善意だった場合、悪意を承継すると消滅時効期間は20年ですが、悪意を承継せず現主の承継開始時から善意で占有を開始したとして消滅時効を占有開始時から10年とする事も認められる。
善意・悪意の地位を当然に承継する。 とはいえない。
11
遺言について、適切か否か答えよ。
子に建物を遺贈する旨の遺言をした遺言者が,その後,配偶者にその建物を贈与した場合,その建物の遺贈に関する部分については,遺言を撤回したものとみなされる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
遺言者が故意に遺言書を破棄したときは、その破棄した部分については、遺言を撤回したものとみなす。遺言者が故意に遺贈の目的物を破棄したときも、同様とする。 (民法 1024条)
民法1023条2項「前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。」
[自説の根拠]自説の根拠は、民法1023条2項
後の遺言でも、のちの行為でも
撤回したものとみなされますよね
子に現金(預金)1億円を遺贈する旨の遺言をした遺言者が
その後、ラスベガスにて1億円を散財し預金0円になってしまった。
その1億円の遺贈に関する部分については,遺言を撤回したものとみなされる。
12
親族について、適切か否か答えよ。
直系血族及び兄弟姉妹は,互いに扶養する義務があり,家庭裁判所は,特別の事情があるときは,3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
○
民法
(扶養義務者)
第877条
直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
13
相続人について、適切か否か答えよ。
遺言で推定相続人を廃除する意思が表示された場合は,遺言執行者は,遺言が効力を生じた後遅滞なく家庭裁判所に推定相続人の廃除を請求しなければならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
○
(遺言による推定相続人の廃除)
第893条
被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。
[自説の根拠]民法 第893条前段
この条が適用されるのは浮気とか浮気とか浮気の場合が多いらしいです。
ただ、廃除はできるだけしないほうがよく、認められたとしても、本当に廃除するのかという意思をはっきりさせなければいけないので、遅滞なく家庭裁判所に請求するルールにしたようです。
14
Aには妻Bとの間に子としてCとDがいて,Cには妻Eとの間に子としてFとGがいる場合において,Aが死亡したときの相続について、適切か否か答えよ。
Aが死亡する前にEを祖先の祭祀を主宰すべき者に指定し,Eがこれを承諾していた場合には,Aの相続人はBCDEである。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
×
祖先の祭祀を主宰すべき者って、初めてみる言葉なんですが、わたしだけでしょうか?
(祭祀に関する権利の承継)
民法 第897条
1.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。
+++
系譜…家系図 祭具…位牌や仏壇等 墳墓…墓石・墓地など
+++
祭祀財産の承継は“承継財産”であり、「相続」の対象ではありません。
Aの子Cの配偶者であるEは、相続人にあたりません。
[自説の根拠]民法897条
遺体とか遺骨は、相続によって引き継がれるものではなく、この条で規定する人物の所有物になるんですね。
被相続人の指定があればその人に、なければ慣習により(基本的には配偶者)、もし対立するようなら家庭裁判所の調停や審判になるようです。
15
遺言について、適切か否か答えよ。
判例によれば,遺言執行者がある場合には,相続人は遺言の執行を妨げるべき行為をすることができず,これに違反して相続人が遺贈の目的物についてした処分行為は無効である。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
○
判例は、遺言執行者がある場合には、相続人が遺贈の目的物についてした処分行為は無効であるとしています。
[自説の根拠]最判昭和62年04月23日
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/js_20100319122601284591.pdf
前半『・・相続人は遺言の執行を妨げるべき行為をすることができず』の部分は、下記条文の規定によります。
●(遺言の執行の妨害行為の禁止)
民法第1013条
遺言執行者がある場合には、相続人は、相続財産の処分その他遺言の執行を妨げるべき行為をすることができない。
↓
そして、これに違反して相続人が遺贈の目的物についてした処分行為(遺贈の目的物たる不動産に抵当権を設定するなど)が無効であることは、 guruguruさんのあげてくれた判例の通りです。
[自説の根拠]民法第1013条、最判昭和62年4月23日
60点
1
親権・監護権について、適切か否か答えよ。
父母は,その協議により,嫡出でない子について,一方が親権を,他方が監護権を行使すると定めることができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。 (民法 819条)
嫡出でない子の親権者は母ですよね
この問題の父というのは 認知はしたが婚姻はしていない父ってことですか
認知もしてないのに親権を取れるわけもなく・・
問題がちょっとおかしい気がします。。
非嫡出子の親権者は母ですが、
819条4項に「父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。」とありますので、
父が親権者となることもできます。
2
代襲相続について、適切か否か答えよ。
被相続人Aの子Bの子Cは,Aの死亡以前にBが死亡していなくても,Aの代襲相続人となる場合がある。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
相続は、死亡によって開始する。 (民法 882条)
【民法887条2項】
【被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。】
Bが欠格または廃除によって相続権を失っている場合に
Cが代襲相続をするという場合ですね。
遺産分割協議中の死亡等でしょうか?
関連問題
民法上の組合について、適切か否か答えよ。
組合員が死亡した場合,組合員たる地位は相続により承継される。
3
離婚について、適切か否か答えよ。
共同親権に服する子のいる父母が裁判上の離婚をする場合には,裁判所が父母の一方を親権者と定める。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。 (民法 819条2項)
裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
[自説の根拠]民法第八百十九条二項
4
相続の承認と放棄について、適切か否か答えよ。
相続人が数人あるときは,限定承認は,相続人全員が共同してしなくてはならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。 (民法 923条)
設問の記述は民法923条に照らして正しい内容です。
限定承認を共同相続人全員で行うこととした趣旨は、個別の限定承認を認めると、清算手続きが複雑になってしまうためです。
もっとも、共同相続人全員で行っても、手続きが面倒であるため、相続全体に占める利用件数の割合は少ないようです。(2000年の認容件数は746件)
[自説の根拠]「民法Ⅳ親族・相続」内田貴(東京大学出版会)
関連問題
相続の承認及び放棄について、民法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
相続人が数人あるときは,限定承認は,共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。
5
相続人が複数存在する場合における遺産分割前の遺産について、判例の判旨に照らして適切か否か答えよ。
遺産である貸金債権は相続人全員が共同してのみ行使することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
相続人が数人あるときは、限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみこれをすることができる。 (民法 923条)
相続人数人ある場合において,相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは,その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する。
[自説の根拠]大審院大9.12.22判決,同昭14.3.24判決,最高裁昭29.4.8判決
6
遺留分について、適切か否か答えよ。
遺留分権利者は,相続開始前には遺留分を放棄することができないが,相続開始後は遺留分を放棄できる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。 (民法 1043条)
(遺留分の放棄)
民法第1043条
相続の開始前における遺留分の放棄は、家庭裁判所の許可を受けたときに限り、その効力を生ずる。
→ つまり、相続開始前でも放棄は可能です。
[自説の根拠]民法第1043条
遺留分の放棄 前後で可能
相続分の放棄 後のみ可能
関連問題
次の説明は、相続に関する記述である。判例に照らして答えよ。
共同相続人の一人が遺留分を放棄した場合には,他の共同相続人の遺留分は,増加する。
7
実親子関係について、適切か否か答えよ。
未認知の18歳の子が婚姻した後,父が子を認知するためには,子の承諾が必要である。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。 (民法 783条)
(成年の子の認知)
第782条
成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。
(婚姻による成年擬制)
第753条
未成年者が婚姻をしたときは、これによって成年に達したものとみなす。
[自説の根拠]民法
18歳(未成年)でも、婚姻したら成年とみなされる。(成年擬制)
よって、成年の子を認知する場合は、本人の承諾が必要
[自説の根拠]自説の根拠は、782条
関連問題
次の説明は、子の認知に関する記述である。
法の規定及び判例に照らして適切か否か答えよ。
成年に達した子を認知するためには,その者の承諾を得ることを要する。
8
遺言について、適切か否か答えよ。
成年に達した者でなければ遺言をすることはできない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
成年に達した者は、養子をすることができる。 (民法 792条)
第961条
満十五歳に達した者は、遺言をすることができる。
関連問題
20歳に達した者は,成年とされる。
9
遺言について、適切か否か答えよ。
公正証書による遺言を除き,遺言書の保管者は,相続の開始を知った後,遅滞なく,これを家庭裁判所に提出して,その検認を請求しなければならない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。 (民法 1004条)
公式解説は1項であり、公正証書による遺言については2項に、「前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。」と規定されています。
[自説の根拠]民法1004条2項。
10
利益を受ける者の意思の尊重について、適切か否か答えよ。
遺贈義務者が受遺者に対し,相当の期間を定めて,その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をした場合,受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは,遺贈を承認したものとみなされる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。 (民法 987条)
民法第987条
遺贈義務者(遺贈の履行をする義務を負う者をいう。以下この節において同じ。)その他の利害関係人は、受遺者に対し、相当の期間を定めて、その期間内に遺贈の承認又は放棄をすべき旨の催告をすることができる。
この場合において、受遺者がその期間内に遺贈義務者に対してその意思を表示しないときは、遺贈を承認したものとみなす。
[自説の根拠]民法987条
11
相続による権利義務の承継について、適切か否か答えよ。
被相続人が買主の詐欺により不動産を売り渡したが,その売買契約を取り消さずに死亡したときは,相続人は,これを取り消すことができない。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
×
次に掲げる者は、相続人となることができない。
4号 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者 (民法 891条1項4号)
民法120条2項
詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。
つまり、承継人である相続人は取り消すことができます。
[自説の根拠]民法120条2項
買主の詐欺師は、騙された売主(被相続人)を殺してしまえば、詐欺を取り消される事は無い。
それは、ありえませんね。
関連問題
次の説明は、不動産の売買に関する記述である。判例に照らして答えよ。
被保佐人Aが,その保佐人Bの同意を得ずにCにAの所有する不動産を売却した場合に,AおよびBは,AC間の売買契約を取り消すことができる。
12
共有者の一人が死亡し,相続人の不存在が確定し,清算手続が終了した場合,その共有持分は他の共有者に帰属するとする見解(甲説)と,特別縁故者に対する財産分与の対象となり,この分与がされない場合に初めて他の共有者に帰属するとする見解(乙説)がある。次の記述を,甲説の説明又は根拠に親しむものと,乙説の説明又は根拠に親しむものとに分けた場合,甲説の説明又は根拠に親しむものとして適切か否か答えよ。
個別の事案に応じて,他の共有者と特別縁故者とのいずれを保護すべきかについての家庭裁判所の判断を通じて,具体的妥当性を図ることができるようにすべきである。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
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共有持分権者が相続人不存在のまま死亡した場合、民法255条(持分の放棄及び共有者の死亡)と958条の3(特別縁故者に対する相続財産の分与)のどちらが優先的に適用されるのかが論点となった裁判です。
設問の甲説は255条優先説、乙説は958条の3優先説です。(h)
甲説では、共有者の1人が死亡して相続人がいないときは255条の適用により、その持分は他の共有者のものとなります。よって、特別縁故者を保護すべきかについての家庭裁判所の判断が入ることもありません。
[自説の根拠]特別縁故者への遺留分与対象としての共有持分権(最高裁平成1.11.24)
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未成年であるAの母はBであり,父はCであるが,BがAの親権者であり,BとCは婚姻をしていない場合について、適切か否か答えよ。
DがAを殺害した場合において,B及びCは,Dに対し,それにより被った精神的損害の賠償を請求することができる。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
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☆民法711条
他人の生命を侵害した者は、被害者の父母、配偶者及び子に対しては、その財産権が侵害されなかった場合においても、損害の賠償をしなければならない。
711条所定の者と実質的に同視できる身分関係が存在し、被害者の死亡により甚大な精神的苦痛を受けた者には、本条が類推適用され、慰謝料請求が認められる。
幼児・内縁関係にある者は、この『近親者』に当たるが、内縁関係による未認知の子は近親者に当たらないことに注意。
[自説の根拠]自説の根拠は、最判昭49.12.17他
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Aには妻Bとの間に子としてCとDがいて,Cには妻Eとの間に子としてFとGがいる場合において,Aが死亡したときの相続について、適切か否か答えよ。
Aが死亡した時,Cは既に7年間生死が明らかでなく,Aの死亡後Eの請求により家庭裁判所が失踪の宣告をし,この審判が確定した場合には,Aの相続人はBDFGである。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
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民法31条「第30条第1項の規定により失踪の宣告を受けたものは同項の期間が満了した時に、同条第2項の規定により失踪の宣告を受けたものはその危難が去ったときに、死亡したものとみなす。」
本設問ではAの死亡後Eの請求により家庭裁判所が失踪宣告しているので、審判確定時にCが死んだことになる。よって、FとGがCを代襲相続し、相続人はBDFGとなる。
[自説の根拠]自説の根拠は、民法31条
今回は、普通失踪の要件と思われます。
Aの死亡時には、Cは7年間生死不明とのことですので、Aが死亡後にCの失踪宣告がなされたとしても、生死不明から7年後、Aの死亡前にCは死亡したとみなされます。
よって、FGがCを代襲します。
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Aには妻Bとの間に子としてCとDがいて,Cには妻Eとの間に子としてFとGがいる場合において,Aが死亡したときの相続について、適切か否か答えよ。
Dが成年に達した後に第三者の養子となっていた場合には,Aの相続人はBCである。 司法試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年07月06日)
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特別養子縁組でなく、普通養子縁組の場合、養子は、養親、実親両方の子供として相続権を持ちます。
Dは成年に達した後、養子となっているので、特別養子縁組ということはありえません。。
よって、Aが死亡した場合、Aの相続人はBCDになります。