行政法 地方自治法2

第二章 住民

 

 

住民の権利義務

今回は、地方自治法に定められている①住民の権利義務について勉強します。さらに、②条例および規則、③地方公共団体の財務――についても勉強してみましょう。

Ⅰ.住民の権利義務
地方自治法に定められた住民とは、市町村の区域内に生活の本拠である住所を有する者を指します(10条1項)。つまり、当該市町村の区域内に住所があれば、法人や外国人も住民です。ただし、地方自治法で「日本国民たる」と規定している場合は、自然人である日本人だけが当てはまります。
住民に与えられた権利は、
①属する普通地方公共団体の役務の提供を等しく受ける権利
②選挙に参与する権利
③直接選挙権――などですが、②③は法人には認められていません。
一方、住民は、属する普通地方公共団体の負担を分担する義務を負います。具体的には、行政サービスを受けるための経費に充てる税金、分担金、使用料や手数料を等しく負担することです。
普通地方公共団体の議会の議員および長の選挙権は、日本国民たる年齢満20歳以上の者で、市町村の区域内に引き続き3カ月以上住所を有する者です。
被選挙権は、都道府県や市町村の議員は、日本国民たる年齢満25歳以上で市町村の区域内に引き続き3カ月以上住所を有する者です。市町村長は、日本国民で年齢満25歳以上、都道府県知事は日本国民で年齢満30歳以上です。
普通地方公共団体の住民であって、選挙権を有する人は、地方自治制度についてのみ認められた直接請求を行うことができます。直接請求は、一定数の者の連署をもって、代表者が一定の事項を普通地方自治体に請求できる権利で、特に覚えていてほしい権利です。
直接請求には、次の6つの種類があります。
①条例制定改廃請求
②事務監査請求
③議会の解散請求
④議員の解職請求
⑤長の解職請求
⑥役員の解職請求
①の条例制定改廃請求は、選挙権を有する住民の総数の50分の1以上の者の連署をもって、代表者から長に対して、条例の制定または改廃を請求するものです(74条)。ただし、地方税の賦課徴収、分担金、使用料や手数料の徴収に関するものについては請求できません。
長がこの請求を受けたときは、20日以内に議会を招集し、意見を付けて議会に付議しなければならず、議会の議決があったときに条例の制定または改廃の効果が生じます。
②の事務監査請求は、選挙権を有する住民の50分の1以上の者の連署をもって、その代表者から監査委員に対して、当該普通地方公共団体の事務ならびに長および各種委員会・委員の権限に属する事務の執行に関して、監査の請求を行うものです(75条)。
請求の対象は、財務に関する事務に限らず、事務の執行全般に及び、外部監査人に請求できる場合もあります。
③の議会の解散請求は、選挙権を有する住民の総数の3分の1以上の者の連署をもって、その代表者から選挙管理委員会に対して議会の解散を請求するものです(76条)。なお、選挙権を有する住民が40万人を超える場合には、超える数に6分の1を乗じて得た数と、40万に3分の1を乗じて得た数とを合算した数以上の者の連署が必要です。
また、議会の議員の一般選挙の日から1年間、または議会の解散請求による解散投票の日から1年間は解散請求できません(79条)。
解散請求がなされた場合、有権者による投票が行われ、過半数の同意があった場合には、議会は解散されます。
④⑤の議員および長の解職請求は、選挙権を有する住民(議員の場合は選挙区内の)の3分の1以上の者の連署をもって、代表者から選挙管理委員会に対して解職の請求をするものです(80条)。これも、議員もしくは長の就職の日から1年間、または解職請求による解職投票の日から1年間は原則として解職請求できません。
解職請求があった場合は、有権者による投票が行われ、過半数の同意があった場合は解職されます。
一方、⑥の役員の解職ですが、対象となる役員はa副知事または副市町村長、b選挙管理委員、c監査委員、d公安委員会の委員、e教育委員会の委員――です。
選挙権を有する住民は、その総数の3分の1以上の者の連署で、代表者から長に対して解職を請求します(86条)。ただし、aについては就職または解職請求による解職に関する議決の日から1年間、b~eの委員については6カ月間、解職の請求はできません。
請求がなされた場合には、長により議会に付議され、議員の3分の2以上の者が出席した会議で4分の3以上の者の同意によって解職されます。
直接請求に関しては、6種類を比較すると覚えやすいので、下表を参考にしてください。

ところで、直接請求の代表者としての資格について、平成21年11月18日の最高裁の判決を受けて、2011に地方自治法が改正され、直接請求代表者の資格制限が次のように規定されました。
①請求に係る地方公共団体の選挙管理委員会の委員または職員
②選挙人名簿に表示されている者(選挙権の停止や失権、転出)
③選挙人名簿から抹消された者(死亡、国籍喪失など)

Ⅱ.条例および規則
普通地方公共団体は、法令に違反しない限り、地域における事務およびその他の事務で法令により処理することとされているものに関して条例を制定することができます。
また、条例中に、条例違反者に対して、2年以下の懲役もしくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料または没収の刑、または5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることも可能です。
議会の議長は、条例の制定または改廃の議決があった日から3日以内に条例を普通地方公共団体の長に送付しなければなりません。これを受けた長は、原則としてその日から20日以内に公布しなければなりません。条例に施行期日の定めがあるものを除いて、公布の日から起算して10日を経過した日から施行されます(16条)。

また、条例は地方の政治に関するものですから、性質上、国のみに属する国防や外交に関する事項などや、全国的に画一的な規制が必要な義務教育制度や裁判制度などについては、条例で定めることができません。
条例の中で、国の法令に基づいて規制が加えられている事項について、当該法令と同一の目的でそれよりも厳しい規制を定める条例を、一般に上乗せ条例と言います。また、国の法令と条例が同一目的で規制を行う場合において、法令で規制が加えられていない項目について規制する条例を一般に横出し条例と言います。
これらは、法令に違反しないかが問題となる条例で、法令と条例のそれぞれの趣旨、目的、内容および効果を比較し、両者の間に矛盾・抵触がない場合に条例として認められます。次の判例を参考にしてください。
☆条例制定権の限界に関する判例(最判昭53.12.21)
河川法は、普通河川については、適用河川または準用河川に対する管理以上に強力な河川管理は施さない趣旨であるから、普通地方公共団体が条例をもって、河川法が定める以上に強力な河川管理を定めることは、同法に違反し許されない。
続いて、長が制定する規則について、少しお話しします。長は、法令に違反しない限りで、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができることになっていますが、権限に属する事務とは、具体的には、
①条例に委任のある場合
②条例の実施に必要な特例を定める場合
③法定受託事務の処理に必要な場合――です。
さらに、長は、法令に特別の定めがある場合を除いて、規則違反者に対して5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができますが、原則として刑罰を設けることはできません。
また、規則の公布は条例の公布に準じます。

Ⅲ.地方公共団体の財務

1.会計年度
国と同じく、普通地方公共団体にも収入支出の区切りとなる会計年度があります。普通地方公共団体の会計年度は毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わります。
原則として各会計年度における歳出(支出)は、その年度の歳入(収入)で賄わなければならないという会計年度独立の原則を採用しています。ただし、例外として、継続費、繰越明許費などが認められています。
また、会計は、一般会計と特別会計に区分され、特別会計は、普通地方公共団体が特定の事業を行う場合などに、条例で設置することができます。
一会計年度における一切の収入および支出は、すべて歳入歳出予算に編入しなければなりません。また、予算外の支出または予算超過の支出に備え、予備費の計上も義務付けられています。
また、債務負担行為をする場合には、原則として予算で債務負担行為として定めなければなりません。

2.予算
普通地方公共団体の収入には、①地方税、②分担金、③使用料、④地方債――などがあります。②~③は条例で定めなければなりません。
また、④地方債を起こす場合は、a記載の目的、b限度額、c起債の方法、d起債の利率、e償還の方法――を予算で定めなければなりません。
また、普通地方公共団体は、事務を処理するために必要な経費等を義務的に予算から支出(支弁)しなければなりません。公益上必要がある場合には、寄付または補助をすることもできます。ただし、会計管理者の支出は、長の政令で定める命令がなければ、行えません。

3.決算
会計管理者は、毎会計年度ごとに政令の定めにより、決算を調整し出納の閉鎖後3カ月以内に、証書その他の書類と合わせて、長に提出しなければなりません。
決算とは、一会計年度の歳入歳出予算の執行の結果の実績を表示した計算書です。
また、出納の閉鎖とは、会計年度は4月~翌年3月までとなっていますが、通常、3月31日までに購入した物や完了した工事などの支払いは翌月以降になってしまいます。また収入でも、事業に対する補助金など、4月以降に入ってくる場合があります。会計年度独立の原則がありますから、これを4月だからといって翌年度会計にはできません。そこで、翌年5月31日までの期間を「出納整理期間」として、旧年度の支払いや収入を処理する整理期間とします。そして、最終的に年度の会計を締める時期5月31日にし、これを出納閉鎖と言います。
長に提出された決算は、所定の書類と合わせて監査委員の審査に付します。
次に、監視委員の審査に付された決算は、監査委員の意見を付けて、次の通常予算を議する会議までに議会の認定に付されます。最後に、議会の認定に付された決算は、住民に公表されます。

4.契約
普通地方公共団体も、物品の購入や工事の請負等、契約を締結します。
契約の方法には、
①一般競争入札
②指名競争入札
③随意契約
④せり売り――があります。
①の一般競争入札は、入札の公告をし、不特定多数の入札参加者を求め、その地方公共団体にもっとも有利な価格で申し込みをした者と締結する契約です。
②の指名競争入札は、契約履行能力等について信用のおける特定多数の者を競わせ、その中で最も有利な価格で入札した者と締結する契約です。
③の随意契約とは、入札を行わずに適当と認める者を相手方に選定する契約です。
④のせり売りとは、入札の方法によらないで、不特定多数の者を口頭または挙手によって競争させる方法です。遺失物の売り払いなどの場合に用いられます。
通常は、①の一般競争入札で締結され、それ以外は、政令で定める場合に該当するときに限って用いられます。
また、工事等の請負契約などの一定の契約を締結した場合、普通地方公共団体の職員は、契約の適正な履行を確保するためや給付の完了を確認するために必要な監督や検査をしなければなりません。
このほか、普通地方公共団体は、214条で定める債務負担行為の規定にかかわらず、翌年度以降にわたり、電気、ガスもしくは水の供給や電気通信役務の提供を受ける契約(例えば、OA機器のリースなど)や、不動産を借りる契約その他政令で定める長期継続契約を締結することができます。ただし、各年度の予算の範囲内で給付を受けることは当然です。

5.支払い等
都道府県は、金融機関を指定して公金の収納や支払いの事務を取り扱わせなければなりません。市町村は、金融機関を指定して収納や支払いの事務を行わせることができます。
なお、普通地方公共団体の長は、歳出予算を支出するために、一時借入金を借り入れることができますが、借り入れの最高額は予算で定めなければなりません。また、償還には、その会計年度の歳入をあてなければなりません。つまり、会計年度内(出納閉鎖までに)ですべての支払いを済ませるということです。
また、普通地方公共団体の金銭債権は、原則5年間権利行使しないと時効消滅します。

6.財務の公正さの確保
財務は、公正さの確保のため、監査委員により財務監査を受けます。財務監査には、①定例(定期)監査、②随意監査――などがあります。
監査委員は、監査のために必要があるときは、関係人の出頭を求めたり関係人を調査し、帳簿・書類その他の記録の提出を求めて、必要があれば学識経験者などの意見も参考に監査します。
また、馴れ合い等による監査制度の機能不全を解消するため、都道府県と政令で定める指定都市や中核市には、包括外部監査を義務づけています。
包括外部監査は、外部監査人が独自に監査をする事件を選択して監査を実施するものです。
このほか、政令で定める指定都市以外の市町村で採用できる、議会や長からの請求に基づき個別の案件ごとに監査を実施する個別外部監査もあります。なお、政令で定める都市以外でも、条例により包括外部監査を導入することができます。

地方公共団体が違法または不当な公金支払い等をした場合に、住民が争い、是正する手段には、
①住民参加請求
②住民訴訟――があります。
①の住民監査請求とは、住民が財務会計上の行為について違法または不当な行為、あるいは違法または不当に必要な行為を怠る事実があると考えた時に、証する書面を添えて、監査委員に対しで監査を求め、当該行為の防止・是正その他の必要な措置を講じることを請求するものです。一方、地方公共団体の業務について監査を請求するものを事務監査請求と言いますので、下表で違いを確認してください。

住民監査請求の対象となる行為は、違法または不当と思われるa公金の支出、b財産の取得・管理・処分、c契約の締結・履行、d債務その他の義務の負担、e公金の賦課・徴収、f財産の管理――です。
住民監査請求があり、一定の要件をみたしている場合は、監査委員は、執行機関に対して監査の手続きが終了するまでの間、当該行為を停止すべきと勧告することができます。暫定的な停止勧告制度は、財務会計行為の停止という重大な影響があるので、違法と明らかな場合に適用される制度です。
また、監査の際には、請求人に証拠の提出と陳述の機会を与えなければなりません。さらに、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関等の陳述の聴取に、請求人を立ち合わせることもできます。
また、監査委員が監査を行い、請求に理由がないと認めるときは、理由を付しその旨を書面により請求人に通知するとともに、公表もします。請求に理由があると認めるときは、議会、長その他の執行機関または職員に対し期間を示して必要な措置をとるよう勧告するとともに勧告の内容を請求人に対し通知し、かつ公表もしなければなりません。
住民監査請求に関する判例を一つ紹介します。
☆正当な理由の有無の判断に関する判例(最判平14.9.12)
正当な理由の有無は、特段の事情のない限り、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査したときに客観的に見て当該行為を知ることができたかどうか、また、これを知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断される。このことは、当該行為が秘密裡にされた場合に限らず、普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて監査請求するに足りる程度に当該行為の存在または内容を知ることができなかった場合も同様である。
住民監査請求に応じた監査委員の勧告や、これに対する執行機関の措置に不服がある場合、住民は行為の差止め、行政処分の取消し、無効確認等を栽培遺書に請求する②住民訴訟を提起することができます。
住民提起をすることができるのは、違法な行為または違法な怠る事実であって、不当な場合では住民訴訟はできません。また、住民訴訟を提起するには、当該住民による住民監査請求の手続きを経なければならないという住民監査請求前置主義が採られています。
住民訴訟の請求内容は4つに分かれています。
1号訴訟:執行機関または職員に対する行為の全部または一部の差止めの請求
2号訴訟:行政処分である当該行為の取消しまたは無効確認の請求
3号訴訟:執行機関または職員に対する怠る事実の違法確認の請求
4号訴訟:職員または当該行為もしくは怠る事実に係る相手方に損害賠償請求または不当利得返還請求をすることを普通地方公共団体の執行機関または職員に対して求める請求
ただし、1号訴訟に基づく差止めは、差止めによって人の生命または身体に対する重大な危害の発生の防止やその他の公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは行えません。
また、4号訴訟が提起されたときは、当該職員または当該行為もしくは怠る事実の相手方に対して、執行機関は、遅滞なく当該訴訟の告知をしなければなりません。そして、損害賠償または不当利得返還の請求を命ずる判決が確定した場合は、普通地方公共団体の長は、判決が確定した日から60日以内に、損害賠償または不当利得の返還金の支払いを請求する義務を負います。そして、60日以内に支払われないときは、当該普通地方公共団体は、当該損害賠償請求または不当利得返還請求を目的とする訴訟を提起しなければなりません。
住民訴訟の出訴期間は、a監査委員の監査の結果、勧告に不服がある場合は、監査の結果または勧告の内容の通知があった日から30日以内、b監査委員の勧告を受けた機関・職員の措置に不服がある場合は、当該措置に係る監査委員の通知があった日から30日以内、c監査委員が監査請求のあった日から60日以内に監査・勧告を行わない場合は、当該60日を経過した日から30日以内、d監査委員の勧告を受けた機関・職員が勧告に示された期間内に必要な措置を講じない場合は、当該勧告に示された期間を経過した日から30日以内――と決まっています。
住民訴訟の対象は財務会計行為に限られています。しかし、何が財務会計行為に当たるかは、はっきりしているわけではなく、この点で争われることも少なくありません。
例えば、土地区画整理法に基づく換地処分により、市が土地を取得したことは財務行為に当たらないとした判例(最判昭51.3.30)がある一方、土地区画整理事業において保留地を随意契約で売却する行為は財務会計行為に当たるという判例(最判平10.11.12)があります。
また、判例は、先行行為が違法である場合、これに基づきなされた後続の財務会計行為も違法として住民訴訟で争うことを認めています(最判昭60.9.12)。しかし、両行為の主体が異なり、かつ先行行為が長から独立性を有する機関によって行われた事案では、先行行為自体の違法を住民訴訟で争うことを認めなかった判例も存在します(最判平4.12.15)。
ここの部分は、一つひとつの判例を覚えることが必要です。

 

 

公の施設など

地方自治法の最終回です。今回は、①公の施設、②地縁による団体、③関与――について解説し、これで行政法を終わりとします。

Ⅰ.公の施設
公の施設とは、住民の福祉を増進する目的をもってその利用に供するために地方公共団体が提供する施設のことです。
公の施設の設置や管理に関する事項は、法律またはこれに基づく政令に特別の定めがある場合を除き、条例で定めなければなりません。そして、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため、条例の定めにより指定管理者に使用許可申請に対する処分等の管理を行わせることができます。
また、公の施設は、議会の議決を経たうえで、関係普通地方公共団体との協議で、当該普通地方公共団体の区域外でも設置することができます。
公の施設は、正当な理由がない限り住民が利用することを拒んではいけませんし、協議により、他の普通地方公共団体の公の施設を自己の住民の利用に供させることもできます。
住民が、公の施設を利用する権利に関する普通地方公共団体の長などのした処分に不服がある者が不服申立てをできる場合を下表にまとめました。

Ⅱ.地縁による団体
地縁による団体とは、町または字の区域その他市町村の一定の区域に住所を有する者の地縁に基づいて形成された団体のことで、例を挙げれば自治会などがこれに当たります。
この地縁による団体は、地域的な共同活動のための不動産や不動産に関する権利等を保有するため、市町村長の認可を受ければ、その規約の目的の範囲内で、権利を有し義務を負います。この市町村長の認可を受けた団体を認可地縁団体と呼びます。
認可地縁団体は、正当な理由がない限り、その区域に住所を有する個人の加入を拒んではなりません。
また、認可地縁団体が、地域的な共同活動を行っていない場合のように、成立要件を欠くことになったときや、不正な手段で認可を受けたときは、市町村長はその認可を取消すことができます。

Ⅲ.関与
関与とは、普通地方公共団体の事務処理に対し、国の行政機関または都道府県の機関が行う一定の行為のことで、
①助言または勧告
②資料の提出の要求
③是正の要求
④同意
⑤許可・認可または承認
⑥指示
⑦代執行
⑧普通地方公共団体との協議――があります。
まず、関与には次の3つの原則が存在します。
a関与の法定主義:国または都道府県による関与は、法律またはこれに基づく政令の根拠が必要なことです。
b一般法主義の原則:関与は、一般法である地方自治法の定める原則に則らなくてはならないということです。
c公正・透明の原則:関与に関する手続きについて、書面の交付、許可・認可等の審査基準や標準処理期間の設定、公表等を定めるものです。
原則を念頭に①~⑥の各関与の概要を下表に示します。

⑦の代執行は、地方公共団体の法定受託事務の管理または執行に関して、法令または各大臣・都道府県知事の処分に違反しているとき、事務処理を怠っているときに、一定の要件のもと、各大臣または都道府県知事が裁判などの手続きを経て、是正のための措置を地方公共団体に代わって行うことです。

また、法定受託事務に係る処理基準は、目的を達成するために必要最小限のものでなくてはなりません。
そして、各大臣の地方公共団体に関する関与は、事前手続の方式が整備され、法律による行政の原理が徹底されています。
具体的には、助言等・資料の提出の要求などでは、地方公共団体から書面の交付が求められた場合には、原則として書面の交付義務があるとともに、助言に従わなかったことを理由に不利益な取扱いをしてはいけません。
また、是正の要求などでは、原則として同時にその内容・理由を記載した書面の交付義務があります。
協議の申出がなされたときには、誠実に協議を行うとともに、相当の期間内に協議が調うよう努める義務があります。
普通地方公共団体から申請や協議の申出があった場合には、許認可等をするかどうかの判断基準を定め、原則として公表する義務があります。また、標準処理期間についても通常必要とする期間を定め、公表する努力義務があり、申請の到達主義を採用しています。
また、国の行政機関が自治事務と同一の事務を自らの事務として処理する場合は、原則として、事前に普通地方公共団体に対して、処理の内容・理由を記した書面で通知しなければなりません。
しかし、国や上級行政庁の関与に関して地方自治体が従うばかりとは限りません。国と地方公共団体や都道府県と市町村などで係争が起こった場合の係争処理の手段には、
①国地方係争処理委員会
②自治紛争処置委員
③関与に関する訴え――があります。
まず、地方公共団体に対する国の関与に関する係争処理手続きを取り扱う機関に、①の国地方係争処理委員会があります。総務省に置かれる常設の機関で5人の委員で構成されます。

②の自治紛争処理委員は、3人とされ、普通地方公共団体相互またはその機関相互の紛争や都道府県関与などの事件ごとに総務大臣または都道府県知事が任命する臨時の機関です。市町村長またはその他の執行機関が総務大臣に対し審査の申出をしたときは、総務大臣は自治紛争処理委員を任命し、事件を審査に付さなければなりません。

国地方係争処理委員会や自治紛争処理委員による審査・勧告等によっても紛争が解決されない場合には、普通地方公共団体の長その他の執行機関は、③の訴えを提起して裁判所の司法判断を求めることになります。
国の関与に関する訴えをする場合には、事前に、国地方係争処理委員会に審査の申出をすることが必要です。訴えは、原則として、当該審査の申出の相手方となった国の行政庁を被告として高等裁判所に対して提起します。ただし、国の関与があった後または申請等が行われた後に、当該行政庁の権限が他の行政庁に承継された場合には、承継された行政庁が被告となります。
審査の対象は、国地方係争処理委員会が関与の適法性に加え、妥当性をも対象とするのに対し、裁判所では、違法性のみが対象となります。裁判の手続きは、訴えの内容に応じて準用される条文が異なります。
また、国の関与に関する訴訟の要件と出訴期間は、
a委員会の審査の結果・勧告に不服がある場合は、審査の結果または勧告の内容の通知があった日から30日以内
b委員会の勧告を受けた国の行政庁の措置に不服がある場合は、当該措置に係る委員会の通知があった日から30日以内
c審査の申出をした日から90日を経過しても委員会が審査・勧告を行わない場合は、当該90日を経過した日から30日以内
d委員会の勧告を受けた国の行政庁が勧告に示された期間内に必要な措置を講じない場合は、当該勧告に示された期間を経過した日から30日以内――です。
国の関与に関する訴えに関する判決も、通常の訴訟と同様に、却下、棄却、認容――があります。
自治紛争処理委員に審査の申出をした都道府県の関与に関する訴えの場合も、国地方係争処理委員会の場合と同様ですので、下表で確かめてください。

 

第十条    市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府県の住民とする。
○2  住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を分任する義務を負う。
第十一条    日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の選挙に参与する権利を有する。
第十二条    日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃を請求する権利を有する。
○2  日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の事務の監査を請求する権利を有する。
第十三条    日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の解散を請求する権利を有する。
○2  日本国民たる普通地方公共団体の住民は、この法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員、長、副知事若しくは副市町村長、第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市の総合区長、選挙管理委員若しくは監査委員又は公安委員会の委員の解職を請求する権利を有する。
○3  日本国民たる普通地方公共団体の住民は、法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の教育委員会の教育長又は委員の解職を請求する権利を有する。
第十三条の二    市町村は、別に法律の定めるところにより、その住民につき、住民たる地位に関する正確な記録を常に整備しておかなければならない。
第三章 条例及び規則
第十四条    普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第二条第二項の事務に関し、条例を制定することができる。
○2  普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
○3  普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、二年以下の懲役若しくは禁錮、百万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
第十五条    普通地方公共団体の長は、法令に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則を制定することができる。
○2  普通地方公共団体の長は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、普通地方公共団体の規則中に、規則に違反した者に対し、五万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
第十六条    普通地方公共団体の議会の議長は、条例の制定又は改廃の議決があつたときは、その日から三日以内にこれを当該普通地方公共団体の長に送付しなければならない。
○2  普通地方公共団体の長は、前項の規定により条例の送付を受けた場合は、その日から二十日以内にこれを公布しなければならない。ただし、再議その他の措置を講じた場合は、この限りでない。
○3  条例は、条例に特別の定があるものを除く外、公布の日から起算して十日を経過した日から、これを施行する。
○4  当該普通地方公共団体の長の署名、施行期日の特例その他条例の公布に関し必要な事項は、条例でこれを定めなければならない。
○5  前二項の規定は、普通地方公共団体の規則並びにその機関の定める規則及びその他の規程で公表を要するものにこれを準用する。但し、法令又は条例に特別の定があるときは、この限りでない。
第四章 選挙
第十七条    普通地方公共団体の議会の議員及び長は、別に法律の定めるところにより、選挙人が投票によりこれを選挙する。
第十八条    日本国民たる年齢満十八年以上の者で引き続き三箇月以上市町村の区域内に住所を有するものは、別に法律の定めるところにより、その属する普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する。
第十九条    普通地方公共団体の議会の議員の選挙権を有する者で年齢満二十五年以上のものは、別に法律の定めるところにより、普通地方公共団体の議会の議員の被選挙権を有する。
○2  日本国民で年齢満三十年以上のものは、別に法律の定めるところにより、都道府県知事の被選挙権を有する。
○3  日本国民で年齢満二十五年以上のものは、別に法律の定めるところにより、市町村長の被選挙権を有する。
第二十条    削除
第二十一条    削除
第二十二条    削除
第二十三条    削除
第二十四条    削除
第二十五条    削除
第二十六条    削除
第二十七条    削除
第二十八条    削除
第二十九条    削除
第三十条    削除
第三十一条    削除
第三十二条    削除
第三十三条    削除
第三十四条    削除
第三十五条    削除
第三十六条    削除
第三十七条    削除
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第五章 直接請求
第一節 条例の制定及び監査の請求
第七十四条    普通地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有する者(以下本編において「選挙権を有する者」という。)は、政令の定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の長に対し、条例(地方税の賦課徴収並びに分担金、使用料及び手数料の徴収に関するものを除く。)の制定又は改廃の請求をすることができる。
○2  前項の請求があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
○3  普通地方公共団体の長は、第一項の請求を受理した日から二十日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに、これを公表しなければならない。
○4  議会は、前項の規定により付議された事件の審議を行うに当たつては、政令の定めるところにより、第一項の代表者に意見を述べる機会を与えなければならない。
○5  第一項の選挙権を有する者とは、公職選挙法 (昭和二十五年法律第百号)第二十二条 の規定による選挙人名簿の登録が行われた日において選挙人名簿に登録されている者とし、その総数の五十分の一の数は、当該普通地方公共団体の選挙管理委員会において、その登録が行われた日後直ちに告示しなければならない。
○6  選挙権を有する者のうち次に掲げるものは、第一項の代表者(以下この項において「代表者」という。)となり、又は代表者であることができない。
一  公職選挙法第二十七条第一項 又は第二項 の規定により選挙人名簿にこれらの項の表示をされている者(都道府県に係る請求にあつては、当該市町村の区域内から引き続き同一都道府県の区域内の他の市町村の区域内に住所を移し、かつ、当該他の市町村の区域内に住所を有している者(同法第十一条第一項 若しくは第二百五十二条 又は政治資金規正法 (昭和二十三年法律第百九十四号)第二十八条 の規定により選挙権を有しなくなつた旨の表示をされている者を除く。)を除く。)
二  前項の選挙人名簿の登録が行われた日以後に公職選挙法第二十八条 の規定により選挙人名簿から抹消された者
三  第一項の請求に係る普通地方公共団体(当該普通地方公共団体が、都道府県である場合には当該都道府県の区域内の市町村並びに第二百五十二条の十九第一項に規定する指定都市(以下この号において「指定都市」という。)の区及び総合区を含み、指定都市である場合には当該市の区及び総合区を含む。)の選挙管理委員会の委員又は職員である者
○7  第一項の場合において、当該地方公共団体の区域内で衆議院議員、参議院議員又は地方公共団体の議会の議員若しくは長の選挙が行なわれることとなるときは、政令で定める期間、当該選挙が行なわれる区域内においては請求のための署名を求めることができない。
○8  選挙権を有する者は、心身の故障その他の事由により条例の制定又は改廃の請求者の署名簿に署名することができないときは、その者の属する市町村の選挙権を有する者(条例の制定又は改廃の請求者の代表者及び当該代表者の委任を受けて当該市町村の選挙権を有する者に対し当該署名簿に署名することを求める者を除く。)に委任して、自己の氏名(以下「請求者の氏名」という。)を当該署名簿に記載させることができる。この場合において、委任を受けた者による当該請求者の氏名の記載は、第一項の規定による請求者の署名とみなす。
○9  前項の規定により委任を受けた者(以下「氏名代筆者」という。)が請求者の氏名を条例の制定又は改廃の請求者の署名簿に記載する場合においては、氏名代筆者は、当該署名簿に氏名代筆者としての署名をしなければならない。
第七十四条の二    条例の制定又は改廃の請求者の代表者は、条例の制定又は改廃の請求者の署名簿を市町村の選挙管理委員会に提出してこれに署名し印をおした者が選挙人名簿に登録された者であることの証明を求めなければならない。この場合においては、当該市町村の選挙管理委員会は、その日から二十日以内に審査を行い、署名の効力を決定し、その旨を証明しなければならない。
○2  市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による署名簿の署名の証明が終了したときは、その日から七日間、その指定した場所において署名簿を関係人の縦覧に供さなければならない。
○3  前項の署名簿の縦覧の期間及び場所については、市町村の選挙管理委員会は、予めこれを告示し、且つ、公衆の見易い方法によりこれを公表しなければならない。
○4  署名簿の署名に関し異議があるときは、関係人は、第二項の規定による縦覧期間内に当該市町村の選挙管理委員会にこれを申し出ることができる。
○5  市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による異議の申出を受けた場合においては、その申出を受けた日から十四日以内にこれを決定しなければならない。この場合において、その申出を正当であると決定したときは、直ちに第一項の規定による証明を修正し、その旨を申出人及び関係人に通知し、併せてこれを告示し、その申出を正当でないと決定したときは、直ちにその旨を申出人に通知しなければならない。
○6  市町村の選挙管理委員会は、第二項の規定による縦覧期間内に関係人の異議の申出がないとき、又は前項の規定によるすべての異議についての決定をしたときは、その旨及び有効署名の総数を告示するとともに、署名簿を条例の制定又は改廃の請求者の代表者に返付しなければならない。
○7  都道府県の条例の制定又は改廃の請求者の署名簿の署名に関し第五項の規定による決定に不服がある者は、その決定のあつた日から十日以内に都道府県の選挙管理委員会に審査を申し立てることができる。
○8  市町村の条例の制定又は改廃の請求者の署名簿の署名に関し第五項の規定による決定に不服がある者は、その決定のあつた日から十四日以内に地方裁判所に出訴することができる。その判決に不服がある者は、控訴することはできないが最高裁判所に上告することができる。
○9  第七項の規定による審査の申立てに対する裁決に不服がある者は、その裁決書の交付を受けた日から十四日以内に高等裁判所に出訴することができる。
○10  審査の申立てに対する裁決又は判決が確定したときは、当該都道府県の選挙管理委員会又は当該裁判所は、直ちに裁決書又は判決書の写を関係市町村の選挙管理委員会に送付しなければならない。この場合においては、送付を受けた当該市町村の選挙管理委員会は、直ちに条例の制定又は改廃の請求者の代表者にその旨を通知しなければならない。
○11  署名簿の署名に関する争訟については、審査の申立てに対する裁決は審査の申立てを受理した日から二十日以内にこれをするものとし、訴訟の判決は事件を受理した日から百日以内にこれをするように努めなければならない。
○12  第八項及び第九項の訴えは、当該決定又は裁決をした選挙管理委員会の所在地を管轄する地方裁判所又は高等裁判所の専属管轄とする。
○13  第八項及び第九項の訴えについては、行政事件訴訟法 (昭和三十七年法律第百三十九号)第四十三条 の規定にかかわらず、同法第十三条 の規定を準用せず、また、同法第十六条 から第十九条 までの規定は、署名簿の署名の効力を争う数個の請求に関してのみ準用する。
第七十四条の三    条例の制定又は改廃の請求者の署名で左に掲げるものは、これを無効とする。
一  法令の定める成規の手続によらない署名
二  何人であるかを確認し難い署名
○2  前条第四項の規定により詐偽又は強迫に基く旨の異議の申出があつた署名で市町村の選挙管理委員会がその申出を正当であると決定したものは、これを無効とする。
○3  市町村の選挙管理委員会は、署名の効力を決定する場合において必要があると認めるときは、関係人の出頭及び証言を求めることができる。
○4  第百条第二項、第三項、第七項及び第八項の規定は、前項の規定による関係人の出頭及び証言にこれを準用する。
第七十四条の四    条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。
一  署名権者又は署名運動者に対し、暴行若しくは威力を加え、又はこれをかどわかしたとき。
二  交通若しくは集会の便を妨げ、又は演説を妨害し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて署名の自由を妨害したとき。
三  署名権者若しくは署名運動者又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して署名権者又は署名運動者を威迫したとき。
○2  条例の制定若しくは改廃の請求者の署名を偽造し若しくはその数を増減した者又は署名簿その他の条例の制定若しくは改廃の請求に必要な関係書類を抑留、毀壊若しくは奪取した者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
○3  条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、選挙権を有する者の委任を受けずに又は選挙権を有する者が心身の故障その他の事由により請求者の署名簿に署名することができないときでないのに、氏名代筆者として請求者の氏名を請求者の署名簿に記載した者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
○4  選挙権を有する者が心身の故障その他の事由により条例の制定又は改廃の請求者の署名簿に署名することができない場合において、当該選挙権を有する者の委任を受けて請求者の氏名を請求者の署名簿に記載した者が、当該署名簿に氏名代筆者としての署名をせず又は虚偽の署名をしたときは、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
○5  条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、次に掲げる者が、その地位を利用して署名運動をしたときは、二年以下の禁錮又は三十万円以下の罰金に処する。
一  国若しくは地方公共団体の公務員又は行政執行法人(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第四項 に規定する行政執行法人をいう。)若しくは特定地方独立行政法人(地方独立行政法人法 (平成十五年法律第百十八号)第二条第二項 に規定する特定地方独立行政法人をいう。)の役員若しくは職員
二  沖縄振興開発金融公庫の役員又は職員
○6  条例の制定又は改廃の請求に関し、政令で定める請求書及び請求代表者証明書を付していない署名簿、政令で定める署名を求めるための請求代表者の委任状を付していない署名簿その他法令の定める所定の手続によらない署名簿を用いて署名を求めた者又は政令で定める署名を求めることができる期間外の時期に署名を求めた者は、十万円以下の罰金に処する。
第七十五条    選挙権を有する者(道の方面公安委員会については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内において選挙権を有する者)は、政令の定めるところにより、その総数の五十分の一以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の監査委員に対し、当該普通地方公共団体の事務の執行に関し、監査の請求をすることができる。
○2  前項の請求があつたときは、監査委員は、直ちに請求の要旨を公表しなければならない。
○3  監査委員は、第一項の請求に係る事項につき監査し、監査の結果に関する報告を決定し、これを同項の代表者に送付し、かつ、公表するとともに、これを当該普通地方公共団体の議会及び長並びに関係のある教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会その他法律に基づく委員会又は委員に提出しなければならない。
○4  前項の規定による監査の結果に関する報告の決定は、監査委員の合議によるものとする。
○5  第七十四条第五項の規定は第一項の選挙権を有する者及びその総数の五十分の一の数について、同条第六項の規定は第一項の代表者について、同条第七項から第九項まで及び第七十四条の二から前条までの規定は第一項の規定による請求者の署名について準用する。この場合において、第七十四条第六項第三号中「区域内」とあるのは、「区域内(道の方面公安委員会に係る請求については、当該方面公安委員会の管理する方面本部の管轄区域内)」と読み替えるものとする。

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